ふたりは恋人 – STAIRCASE(1969年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:スタンリー・ドーネン
製作:スタンリー・ドーネン
脚本:チャールス・ダイアー
撮影:クリストファー・チャリス
音楽:ダドリー・ムーア

キャスト
リーズ / リチャード・バートン
ダイヤー / レックス・ハリソン
リーズの母 / キャスリーン・ネスビット
ダイヤーの母 / ベアトリックス・レーマン
ジャック / スティーヴン・ルイス
巡査 / ニール・ウィルソン
郵便屋 / ゴードン・ヒース
墓掘り / ダーモット・ケリー
看護婦 / パット・ヘイウッド

日本公開: 1970年
製作国: イギリス 20世紀フォックス作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

今回もイギリスの男色家同士を描いた作品にしてみた。ただし若者の葛藤を美しく描くのではなく、中年カップルの痴話喧嘩的内容。興味深いのはイギリスの名優リチャード・バートンとレックス・ハリソンが共演していること。何とも珍妙な印象のコメデイ。

イギリス、ロンドンゲイのリーズ(リチャード・バートン)とダイヤー(レックス・ハリソン)は、共同で30年も理髪店を営む恋人たち。リーズは性格がおっとりとしていて、毒舌家のダイヤーは、そんな彼を揶揄しつつの生活である。

ところが、寄る年波でリーズの頭髪が薄くなり、毎日がその心配ばかりだ。一方のダイヤーは、女装して町を歩いた時に警官に逮捕され、裁判所からの出頭要請が来るのではないかと、些かノイローゼ気味。なので、日々、手紙が来てないかと何度もリーズに聞く始末。

そんなある日、ダイヤー宛に一通の手紙が来た。何と別れた妻からで、娘がそちらに行くのでよろしく、との内容だった。長年会っていない娘は女優志望で、かつて舞台俳優だったダイヤーにコネを求めてのこと。

しかし、彼は一応「俳優」であるが、この10年で、たった一度テレビCMにでただけであり・・・

中年ゲイ同士の更年期障害的愛憎を描くドラマ。

長年営む理髪店の二階で暮らす男二人。方や頭髪が気になり、一方は召喚に怯える。

それぞれの心配事が頭の中を駆け巡り、お互いに不信感を覚えて行くという内容。

市井の人間たちのありがちなドラマだが、それが男同士というのがミソ。

とはいってもハゲを隠すためにプレゼントした「カツラ」や、遂に来た召喚状で、弁護士費用の工面などで、更にお互いが喧嘩に発展していくという、取り立てて目新しさはない内容でもある。

ポスターの惹句は「決して笑わないで下さい!」だが、本当に笑えない作劇でもある。

見方によっては、やはり大ヒット舞台劇の映画化でもあるアメリカの「おかしな二人」(1968)の英国版にして、あちら以上にストレートに同性愛を正面にだした作品とも思える。

主役二人の設定も両極端な性格でもなく、方や『両刀使い』を感じさせるハリソンと、いかにもゲイっぽい所作だが、とてもシビアなバートンの重厚な演技ゆえに、背中が痒くなるような感覚に陥る。

長年連れ添ったからこその甘えと依存。そこからの派生として別れる別れないという夫婦喧嘩。

実に地味な内容を演技派のヴェテラン男優が真面目に演じてい行く。

それが愉悦に昇華しないのは、スタンリー・ドーネン演出の稚拙さゆえだろう。

ミュージカルの傑作「雨に唄えば」(1952)から、オードリー・ヘップバーンのサスペンス映画「シャレード」(1963)など、様々なジャンルを手掛けてきた監督だが、本作時は既に全盛期は終わったという印象。

シェイクスピア劇から史劇と、実に存在感のあるイギリス名優二名の演技バランスと、ベストな部分をカメラに残せないカット割りなど、どうにも、むず痒い。

舞台劇らしく、個人の感情の揺れと愛情のバランスが、些細なことで行き違う脚本は悪くないのだが、ありがちと片付けられる内容にして、本当に笑えない作品。

余談雑談 2018年9月15日
沖縄行も決定し、離島での宿泊先を逡巡したりと楽しい時間を過ごしていた。 ところが、好事魔多し。携帯電話が壊れやがった。 時代の流れに背を向ける自分は、当然スマホではなく折畳み式の「ガラケー」で、今のだって変えて10年近く使用中であった。 し