スタッフ
監督:テレンス・ヤング
製作:ハーバート・スミス
脚本:テレンス・ヤング
撮影:ハリー・ワックスマン
音楽:ランバート・ウィリアムソン
キャスト
ハミルトン / エドワード・アンダーダウン
モーガン / ラルフ・クラントン
ウィルヘルミナ / ヘレン・チェリー
ジェーン / ステラ・アンドリュー
オコーナー / マイケル・ブレナン
ノーブル少佐 / マイケル・トラブショー
’77ジョーンズ / デズモンド・リューリン
マイケル / アンソニー・ドーソン
ルイス / クリストファー・リー
日本公開: 1956年
製作国: イギリス アーサー・ランク作品
配給: BCFC
あらすじとコメント
「暗くなるまで待って」(1967)の監督テレンス・ヤング。初期の「007」シリーズなどが有名だが、元々はイギリス映画の監督であった。そんな彼の初期作品にして、いかにもイギリス製らしい戦争映画を扱ってみる。
イギリス、カターハム基地第二次大戦初期、英仏軍がダンケルクから敗走した直後。
続々と志願兵が基地を訪れていた。そこに、ハミルトン(エドワード・アンダーダウン)、まだ参戦していないアメリカのニュー・ヨーク出身で仕事の転勤で来英していたモーガン(ラルフ・クラントン)、クセのあるアイルランド人オコーナー(マイケル・ブレナン)がいた。
早速厳しい訓練が開始されるが、中でも彼らが驚いたのは、教官からの想像以上の規律遵守令とそれによる罰則訓練の厳しさであった。そんな彼らは、やがて近衛師団戦車隊配属になる。
その後、アメリカも参戦し連合軍による反撃が開始され、優勢に転じてきた。それでも、まだ彼らには出撃命令が降りず、悶々とする日々でもあった。
ある休暇の日、一人で池に行ったモーガンは、裸で泳いでいたジェーン(ステラ・アンドリュー)がいるのに驚いて・・・
戦車隊に配属された志願兵たちの転戦を描いていく作品。
民間人が厳しい訓練を受けて戦場へ行く。ありがちな設定だし、実際、「新兵教育モノ」というジャンルは数多い。
本作もそんな一本であるし、製作年度を考えると、致し方ないのだが、戦場に出向くまでの描写がかなり長い。
主役は後に士官候補生として活躍して行く二人で、それぞれの異性事情も絡みはするが、特段の盛り上がりはない。
ある意味、メリハリに欠ける作品なのだが、個人的には彼らと「戦車」との自然な関わり方に興味を持った。
初実戦はアフリカだろうと車体を砂漠仕様にペンキで自分らで塗り替えたり、逆に、それが中止になると元に色に塗装し直す。
何とも地味目な基地内での兵士の日常が淡々と描かれる。実写フィルムを多用したり、大戦時に活躍したイギリスの実車両がこれでもかと登場し、細部に渡る描かれ方をするので気に入った。
しかも、ホンンモノのドイツタイガー1型戦車が見られるだけでも感動的。
要は、戦車や軍装品「オタク」系には、もってこいの好材料。
ストーリィはノルマンディーでやっと戦場に出陣し、それからパリを目指し、ベルギーを横断していく展開で進行し、戦闘シーンもそれなりに登場してくる。
その場面はドキュメンタリー・フィルムを多用し、それっぽく編集しているのである程度迫力はあるが、作劇法と地味な俳優により盛り上がりには欠けるのだが。
それでも連合軍の壮大なる負け戦として後年製作される「遠すぎた橋」(1977)や、やはり苦戦を強いられた「バルジ大作戦」(1965)で描かれた『バストーニュ』近郊で実際に参加した部隊なので、戦争映画好きには、掻い摘んで教えてくれもする内容。
そういう意味では、第二次大戦でのノルマンディー上陸後、英軍がどのようにドイツに進撃して行ったかを追動でき、実際にドイツ側から開放していく場所場所での歓迎ぶりなどもあり、こちらも彼らと同じ部隊に所属しているとも思えようか。
地味で、メリハリもない、往年の作品ではあるが、嫌いではない。