ペーパーチェイス – THE PAPER CHASE(1973年)

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スタッフ
監督:ジェームズ・ブリッジス
製作:ロバート・C・トンプソン、R・ポール
脚本:ジェームズ・ブリッジス
撮影:ゴードン・ウィリス
音楽:ジョン・ウィリアムス

キャスト
ハート / ティモシー・ボトムス
スーザン / リンゼイ・ワグナー
キングスフィールド教授 / ジョン・ハウスマン
ベル / クレイグ・リチャード・ネルソン
ブルックス / ジェームス・ノートン
フォード三世 / グレアム・ベッケル
モス / レニー・ベイカー
オコーナー / ボブ・リディアード
アンダーソン / エドワード・ハーマン

日本公開: 1974年
製作国: アメリカ トンプソン&ポール・プロ作品
配給: 20世紀フォックス

あらすじとコメント

アメリカの悩める若者。身勝手で刹那的な青年ではなく、今回はエリートを目指す大学生たちの葛藤と絶望を描いた作品。

アメリカ、ボストンハーバード法科大学に入学したハート(ティモシー・ボトムズ)は、厳格で有名なキングスフィールド教授(ジョン・ハウスマン)の講義を履修した。しかし一回目の授業で、いきなり厳しい質問に翻弄され絶望的になる。

夕方、寮に戻ったハートは、同じくキングスフィールドの講義を受ける仲間から、一年後の学期末試験のために「勉強会」に参加しないかと誘われる。確かに、数種類の法律科目試験があるので、分担すれば負担が減ると考え参加を決めた。

そんな彼は、夕食に外出した帰り、いきなりスーザン(リンゼイ・ワグナー)に、不審者に尾けられているようだから家まで送って欲しいと頼まれて・・・

将来の希望に燃える若者たちが辿る過酷な一年を描く作品。

難関入試を突破しミネソタから寮生活に入った主人公。当然、知り合いは一人もいない。

卒業後はウォール街を目指す者、有名なやり手弁護士になりたい者など、皆が希望に燃えている。

しかも入学は出来たものの試験を落とせば留年であり、それは将来への汚点にもなるのだ。その上、絶対に落とせない講義を受け持つのは厳格な老教授。

ならば、と6名がグループを結成し、試験対策のため科目分担しようと。そこには既に結婚している者もいたり、エリート意識ゆえか性格的に問題ありの人間もいる。中には女性との付き合いはご法度だと断言する人間もいる。何故なら両立は不可能だからと。

それでも主人公は女性と付き合い始め、結果、自分自身を追い込んで行くことになっていく展開。

真面目な性格で必死に勉強しようとする主人公だが、他人を傷付けたり、違法性のある行動を取ったり、結局自己中心的な言動に走って行く。

しかも、その原因が厳格な教授にあると伝えるために、半分近くが講義シーンである。

常に、教授の威圧的で絶対的な存在が、生徒たちを次々と追い詰め、まるで公開処刑するかのような場面が続く。

人を裁いたり助けたりする立場を目指す人間は、常に完璧というか、これで良いという立場で留まってはいけないと教えるために、人生経験の少ない若者らに、静かに、だが徹底的に教え込んでいく。

感情の起伏がないために、どこまで生徒のことを理解しているのかがまったく解らず翻弄され続ける学生たち。当然、挫折する者もでてくる。

それでも、主人公は教授に抗いながらも、絶対に試験をパスすると決めていく。

そのことで恋人との不協和音も何度となく繰り返すことになるのだが。

何といっても、老教授を演じるジョン・ハウスマンの存在感が圧倒的である。この態で一年間、教鞭を取り続けられたら、完全に参ってしまうと感じさせる。

日本でも、ごく一部はこういう学生生活を送る者もいようが、通常、大学に入ってしまえば、それなりのキャンパス・ライフを楽しむ方が圧倒的だろう。

成程、こんな大学生活を続ければ、将来、自分は、そこいらの「普通の人間」とは違うと確信しつつ人生を送るのだろうなと、嫌な気分にもさせられる。そこに人間らしさは消滅するであろうから。

ただし、本作は、ラストに一縷の望みを提示させるので、ホッとする。感情移入はしにくいが、その分冷静に観れば、良く出来ている作品。

余談雑談 2019年4月6日
流石、観光地だなと思った。この前、一日で三度、外国人観光客に英語で声を掛けられた。 稀に、ないことはないのだが、久し振りで三度も、である。最初は、朝8時過ぎに自室から実家へ向かう道すがら。 丁度、通勤の時間帯でもあり、駅から自分同様に、会社