マクベス – MACBETH(1971年)

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スタッフ
監督:ロマン・ポランスキー
製作:ヒュー・ヘフナー
脚本:R・ポランスキー、ケネス・タイナン
撮影:ギルバート・テイラー
音楽:ザ・サード・イヤー・バンド

キャスト
マクベス / ジョン・フィンチ
マクベスの妻 / フランチェスカ・アニス
バンクオ / マーティン・ショウ
ダンカン国王 / ニコラス・セルビー
マルコルム / ステファン・チェイス
ロス / ジョン・ストライド
ドナルバイン / ポール・シェリー
マクダフ / テレンス・ベイラー
レノックス / アンドリュー・ローレンス

日本公開: 1973年
製作国: イギリス プレイボーイ・プロ作品
配給: コロンビア


あらすじとコメント

ロマン・ポランスキー監督作で続ける。初期からホラー的作品が多い中、今回はシェイクスピアの有名戯曲の映画化。彼の神経が病んでいると感じる作品でもある。

スコットランドノルウェーの軍勢に追い込まれていた戦いで、英雄的活躍で起死回生を図り、大逆転して勝利したマクベス(ジョン・フィンチ)。仲間のバンクオ(マーティン・ショー)と凱旋途中、不気味で魔女のような老婆らと遭遇し、二人の将来を予言される。

不思議な感覚に陥る二人だが、スコットランド国王の元に向かった。国王もたいそう喜び、敵側に寝返ったコーダー地方の領主を捕まえ、代わりにマクベスを指名した。驚くマクベスら。何故なら、老婆たちの予言通りだったからだ。

しかも、その予言では彼は国王になる、とまで言われていたのだ・・・

ヒロイックな人間が歩む破滅型の人生を描く悲劇。

論功行賞で出世する主人公。だが、その前に三人の魔女から暗示めいた予言を授かり、それがピタリと当たって行く。

当初こそ、野心や策謀なしの好人物だったが、野心家の妻の入れ知恵で国王を暗殺し、自分が王になったことから精神に異常をきたしていく。それも魔女の予言の影響である。

内容は有名なシェイクスピアの古典で、舞台では数え切れないほど上演され続けているし、黒澤明を含め、数度映画化もされている。

特筆すべきは、本作の製作年度。監督としては「ローズマリーの赤ちゃん」(1968)の次の作品だが、1969年に妻であるシャロン・テートをカルト教団に殺害されている。

その事件後に演出した作品で、製作は、かのプレイボーイ誌で有名なヒュー・ヘフナーが映画プロダクションを立ち上げ、その第一作目でもある。

そんなコンビがチョイスしたのが有名な古典の本作。

そういった背景を知って観ると、実に複雑な心境になる。作劇は、実にリアルであり、ゆえに殺人シーンなど、かなりグロテスク。

それでいながら、暗示的に描きだされるCG画面には、かなりの違和感がある。

ポランスキー自身の精神的ダメージを覆い隠そうと理性で対処しようとしている無理さ加減が、どこか悪臭にも似た感じで漂っている。

その上、どうにもマゾ的性格とも見受けられる異常性まで想起させ、それを逆に理性的サディストとして描いていこうとするパラノイアの異臭まで感じた。

敢えて、同じ原作である黒澤の「蜘蛛巣城」(1957)を意識的に無視するような作劇でありながら、どことなく影響も見受けられる。

また、太った中年以上の醜女らの集団ヌードのグロテスクさを強調するシーンなどはイタリアのフェデリコ・フェリーニの影響も感じた。

兎に角、汗臭く、泥臭く、真面目にリアルな古典劇を映像化しようと苦心しているのは理解できるが、どうにも精神的にかなり参っているとも感じる不気味なドラマ。

余談雑談 2019年5月4日
新元号が始まった。これで三元号生きたことになる。 もう10年も経つと「昭和」生まれの人間は、自分らの子供時代の「明治」生まれてな印象を持たれるんだろうな。寄る年波を感じる。 さてさて、「令和」はどんな時代になるのだろうかと思っていたら、いき