恋の骨折り損 – LOVE’S LABOUR’S LOST(1999年)

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スタッフ
監督:ケネス・ブラナー
製作:デヴィッド・バロン、ケネス・ブラナー
脚本:ケネス・ブラナー
撮影:アレックス・トムソン
音楽:パトリック・ドイル

キャスト
国王 / アレッサンドロ・ニヴォラ
ロンガヴィル / マシュー・リラード
王女 / アリシア・シルヴァーストン
ドゥメイン / エイドリアン・レスター
ビローン / ケネス・ブラナー
ロザリン / ナターシャ・マケルホーン
マリア / カルメン・エジョーゴ
キャサリーヌ / エミリー・モーティマー
ボワイエ / リチャード・クリフォード

日本公開: 2000年
製作国: イギリス シェークスピア・フィルム作品
配給: アスミック・エース


あらすじとコメント

シェークスピア作品の映画化。「三大悲劇」のような有名な戯曲ではないが、軽喜劇的内容を何とミュージカルにした作品。

ナヴァール王国第二次大戦の足音が聞こえてきている時期。独身の若き王(アレッサンドロ・ニヴォラ)は、盟友のビローン(ケネス・ブラナー)らと四人で、不安定な世界情勢を吹き飛ばすかの如く三年間学業に専念すると宣言した。

しかも、女性に近付かないし近付けない。睡眠や食事も厳しく制限するという内容も含んでいた。ビローンらは、それはやり過ぎだと難色を示すが、それぐらいの気構えでないと成就しないと平然と言い放つ王。しかも、誓約書に署名までだ。

ところが、病床に伏しているフランス国王の名代で、王女(アリシア・シルヴァーストーン)が侍女たちを引き連れて交渉に来ることになり・・・

男女らの恋の駆け引きを描く綺麗なミュージカル。

戦争など関係なく、平和的な国だと世界に示そうとする国王たち四人組。

ところが血気盛んな年頃。そこにやってくるフランス王女と侍女たち四人組。あくまで城内に入れなければ良いかといきなりペース・ダウン。

当然、それぞれが相手を見つけ、見栄と格好をつけつつ恋の駆け引きが始まる。

元々は16世紀に書かれた戯曲。それを第二次大戦前夜に設定する。主人公らが住むのは架空の国だがフランスは実在し、大戦ではすぐに降伏するのは誰もが知る事実。

まして、19世紀に王政は廃止され、国王やら王女はいないのも周知の事実であろう。

要はある意味、ファンタジーとしての映画化。だからこそのミュージカルかもしれぬ。

それも、時代背景当時に流行っていたコール・ポーターやジョージ・ガーシュインのスタンダード楽曲を用い、フレッド・アステア全盛期の衣装と振り付けで唄い踊る。

進行を掻い摘んで説明するのには映画館で流されていた白黒ニュース映像を入れ込んだり、MGM調に近いカラフルでエレガントな衣装の数々を身に纏う。

飛び切りお洒落な映像で、幾何学模様の群舞を得意とした振付師バズビー・バークレイのタッチも取り込むが、絶対にバークレイが得意とした真上からのシンメトリーさを描かず、カッティングで横からとかアップでしか対応しないという「くすぐり」で表現する。

しかもイギリス映画である。素直そうで、素直な健全ミュージカルでもない。何故ならオリジナルはイギリスのシェイクスピア劇である。

起用している楽曲はアステア映画のものが多いが、マリリン・モンローの「ショウほど素敵な商売はない」(1954)の曲が流れる場面でのダンス・シーンは思わずニコニコしながら唸った。

恐らくは余程のクラシカルなミュージカル好きでないと付いて行けないだろうか。

逆に、シェイクスピア好きは嫌悪感を催すかもしれぬ。実験的で意欲作であることには間違いない。

個人的には20世紀も終わろうという時期に、良くぞこの作品を作り、日本公開したと思う。

興行的には振るわないのは当然の帰結だとも思うが、ストーリーより楽曲とカラフルな衣装とセットがマッチングして、捨て難い好編という印象。

余談雑談 2019年5月11日
先ず、先週の発行はミスで何度も誤送信されてしまい、大変失礼しました。驚かれた方もいらっしゃるかな。 いつも通りに発行ボタンを押すも、「発行済」に切り替わらないなと。暫く経ってから「エラー」表示。 はい、焦りました。観光地で多くの観光客が一斉