ローマで起った奇妙な出来事 – A FUNNY THING HAPPENED ON THE WAY TO THE FORUM(1966年)

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スタッフ
監督:リチャード・レスター
製作:メルヴィン・フランク
脚本:メルヴィン・フランク、マイケル・パートウィー
撮影:ニコラス・ローグ
音楽:アーウィン・コスタル、ケン・ソーン

キャスト
プセドラス / ゼロ・モステル
ライカス / フィル・シルヴァース
エロニウス / バスター・キートン
ヒステリウム / ジャック・ギルフォード
ヒーロー / マイケル・クロフォード
フィリア / アンネット・アンドレ
セネクス / マイケル・ホーダーン
ドミーナ / パトリシア・ジェッセル
マイルス / レオン・グリーン

日本公開: 1967年
製作国: アメリカ メルヴィン・フランク・プロ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

今回も一風変わったミュージカル映画にしてみた。当時流行りだったブロードウェイ劇の映画化であるが、コメディ色全開で繰り広げられる、何とも面白い佳作。

古代ローマ貴族セネクス家の奴隷プセドラス(ゼロ・モステル)は、要領が良くて機転が利くが、それ以上に悪知恵が働く男。そんな彼の夢は「自由の身になること」であった。

ある日、妻に頭の上がらないセネクスが夫婦揃って出掛けた後、自分の夢を叶える絶好のチャンスが到来した。それは当家の一人息子が隣家のライカス(フィル・シルヴァース)が営む売春宿の少女フィリアに恋をしていると知ったから。二人を一緒にすれば、自由の身をくれる、と息子に約束させたのだ。

すぐに行動に移すプセドラスであったが、何と、処女のフィリアは、既に見受けが確定したていたのだ。

その相手というのが・・・

練られた設定で絶妙にツボをくすぐるミュージカル・コメディの佳作。

どこか植木等の当たり役「無責任男」的キャラクターが主人公。

だが、軽妙さではなく、力技というか、行き当たり場当たり的言動が前面にでている。つまり、山田洋次作品のハナ肇が演じているという印象。

そんな彼が自分の夢を叶えるために、どんどんと周囲の人間たちを巻き込んでの大騒動に発展して行く展開。

何が面白いかといって、その巻き込まれていく人間たちのキャラクター。

メインの舞台となるのは、主人公が働く貴族の家とその両隣りという三軒の家。そこを人物が入り乱れての行ったり来たりする進行である。

で、登場人物はというと、先ず、主人公の雇い主であるグロテスクなまでの白化粧の強烈な妻と、彼女にまったく頭が上がらないくせに、スケベ心を持つ、いかにも気弱なオジサンの夫婦。

そして主人公にいいように振り回される、亭主以上に気弱な奴隷頭。強欲ながら間抜けな曖昧宿の主人。そして、別方の隣家の一人暮らしのご主人。

このご主人は、若い頃に離れ離れになった二人の子供を探してあちらこちらを走りながら旅している老人。

それに世間知らずのボンボンと曖昧宿の女たちが数名。

そんな登場人物らが、主人公に翻弄されて、あっちに行ったり、こっちに来たり。それだけ多くの人物なので、慌ただしいわ、ややこしいわなのに、しまいにはボンボンが恋した処女を落札し、引き取りにやって来るコワモテの隊長と軍隊と更に増えて入り乱れて行く。

ひとつの嘘から、次々とトラブルが派生していき、そんなシチュエーションでは、さもありなんという人物が餌食になり、また別な人間へと伝播していく。

そんな設定で進行する中で、妙にトボケた楽曲が挿入される。

いやはや、何とも楽しいのだ。ただし、実力はあるものの、日本では、あまり馴染みのない俳優たちが演じているので派手さはないが、逆に安心して見ていける。

その中でも、昔離れ離れになった子供たちを探し、いつも走ってばかりいる老人役のバスター・キートンは秀逸。

サイレント時代から、優男のくせに、まったく無表情のまま息切れさえしないというタフさの上に、スタントマンなしで体を張ったコメディを演じ続けてきた御仁。

その彼が、いかにも彼らしい役で登場し、オールド・ファンを楽しませる。

他にもイギリス映画でちょくちょく見かけたマイケル・ボーダーンや、これといって印象に残る役者ではないが、妙に気になる脇役ジャック・ギルフォードなども、いかにもの演技で、微笑ましい。

時代設定もミュージカルとしては珍しい古代ローマ時代だし、キートンを筆頭にヴェテランたちの緩急の付いた演技などから見ても、サイレント時代へのオマージュというか、憧れという印象が強い。

当時、ありがちだった舞台のミュージカル化映画としては、好きな部類に入る佳作。

余談雑談 2019年5月18日
大型連休が終わっても静かさが戻らない地元。流石の有名観光地だ。 しかも、東京の下町は夏祭りが始まり、「江戸三大祭」のひとつと呼称される地元の祭りも今日、明日と催行されて、それこそお祭り騒ぎになる。 地元に生まれ育ち、その祭りの変化をつぶさに