自販機の撤去も終わり、これで完全廃業と相成った。店頭販売は、先月で終了していたが、自販機に関しては業者都合で今月に入ってからとの連絡を受けていた。
国内企業が先で、数日後に外資系の順であった。なので、その両日は立ち合いのため実家に行くと母には告げた。
それで、今後はあまり行かなくなるだろうなと撤去業者来訪の前に、朝イチで実家近くの食堂へ向った。それまでの接客業とは違い、朝からアルコールが入ったって問題ないし、取り敢えずの廃業記念第一弾として。
ところが驚いた。以前は、朝9時の開店だったが、何と10時からとの張り紙が。しかも、閉店の時間も30分早まっているではないか。要は、営業時間が10時から1時半の3時間半のみになっていた。
撤去は昼過ぎだし、仕方なく、半時ほど時間を潰すことにした。食堂のスタッフは全員女性。中には、足を引ずるオバさんもいるし、他の方もスローな動き。いよいよ閉店へのカウントダウンかなとか思いながら散歩。
開店準備を始めている近くのキッチン道具街を流してみた。昨今は外国人観光客が多いと尋いていたが、既に何組もいた。やはり興味があるのは和食器や商品サンプルなんだと笑ったけど。
10時少し過ぎに食堂に戻ると既に先客が二組いた。片方は、アジア系家族五名に、日本人女性が一人。ガイドなのか、日本食を知らない一行に、卓上の品を色々と説明していた。
ここでも外人観光客か。全員が珍しそうに食べている。こちらは、あればラッキーな『マグロのあら煮』280円があったので、迷わずビールと一緒に注文。
オバさんがビールを持ってきたので、英語メニューもないのに、外国人も来るんですねと尋いたら、最近は結構多いですよ、と。
近くに安ホステルも出来て、スタッフが、わざわざ連れてきてくれたり、ある程度のメニューも先立って教えているらしいとも。
別に困った風情でもないので、ここでも時代は流れていると感じた。以前は、場末感漂う寂びれた食堂だったのにな。
頑なに変わろうとしないのは自分ぐらいなんだと複雑な心情にもなったけど。それから親子丼とアサリの味噌汁を食して店を辞した。
撤去業者は一時間も早く来た。ノンビリ飲んでなくて良かったと思いながら立ち会った。
30分もかからずに撤去終了。数十年振りに2台分の自販機がなくなり、ポッカリとへこんだ壁が出現した。こちらの心にも穴が開いていた。
もしかして、あの食堂だって今後何年もやっているだろうか。
こうやって、嫌でも閉店に立ち会う時代に入ったんだな。