まったく、ここで書くネタに事欠かないんだよな。
差し歯が抜けたので、歯医者に行った。そうしたらドクターが難しい顔をして、しばし沈黙。
差し歯は「犬歯」で、動物でいう『牙』の名残りだとか。本来、一番強い歯なんですがね、と被せてきた。
かつての治療時、根の部分を残しての差し歯にしたが、その根が破砕だと仰る。
それを破砕するのは余程、咀嚼力が強いのだろうか。固いものは好きだし、魚の骨なんぞもカルシュウム摂取と食べていた。それが逆効果だったってことか。
しかもレントゲン写真を見ると上部の歯を支える骨が脆弱で、他にもボロボロ抜けるかもと脅してきた。おいおい、差し歯を強力な接着剤で付けるだけじゃないの。
更なる脅しまで入って頭の中で紙幣がふわふわと舞い上って消えていく。
まだ黙っている。こちらが保険適用内でと、常にセコい発言をしているから、困ったのかもしれないが。
それを察したのか、保険適用のみですねと念を押され、しばらく考えますと、また沈黙。
結局、その日はそれで終わり。次の予約を入れて外に出た。当然、その歯は抜けたまま。口呼吸すると隙間風の音が聞こえる気がした。
何だか、一挙に下り坂てな人生。大丈夫なつもりだが、現実は体のあちらこちらで急速劣化かよ。
逆に、経験値の上昇と、収支の悪化ゆえ、心身ともに劣化認証機能の精度が上がり、イライラが募って『キレるオジサン』には加速度がつくのか。
否や、大丈夫さ。何たって、破砕したのは犬歯。要は、この歳で牙を抜かれたてなもんだもんな。
