スタッフ
監督:ヴィクター・サヴィル
製作:ヴィクター・サヴィル
脚本:レッサー・サミュエルズ、アベム・フィンケル
撮影:ルドルフ・マテ
音楽:マーリン・スカイルズ
キャスト
ロザリンド / リタ・ヘイワース
ランディ / リー・ボウマン
ジュディ / ジャネット・ブレア
ローソン / マーク・プラット
ワルド / プロフェッサー・ランバーティ
アンジェラ / レスリー・ブルックス
トニ / ダスティ・アンダーソン
ウィギンス / ステーブン・クレイン
トリヴァー / フローレンス・ベイツ
日本公開: 1951年
製作国: アメリカ コロンビア作品
配給: セントラル
あらすじとコメント
今回もロンドンを舞台にしたミュージカル映画。明朗快活系が多い中、本作は第二次大戦下の暗い内容を伴う一風変わったミュージカル。
イギリス、ロンドン第二次大戦直前、ロンドンでミュージカル公演を行う劇場があった。そこにはトップ・スターのロザリンド(リタ・ヘイワース)と仲良しのジュディ(ジャネット・ブレア)らが所属しており、人気を博していた。
そんな中、機織り工場勤務の青年トミー(マーク・プラット)がオーデションにやって来た。とぼけた風情で大丈夫かと訝しがる座員らの前で、ラジオ放送から流れるクラッシックからジャズ、果てはヒトラーの演説にまで合わせて即興でダンスを踊り、入団が決まった。
遂に戦争が始まり、ロンドンへの空爆が激しさを増してきた。空襲警報が頻発に発令され、都度、観客共々地下へ避難するが、それでも公演を続ける一座。
ある日、空軍将校のランディ(リー・ボウマン)が仲間らと観劇に来て・・・
激しい空襲下で公演を続ける一座を描く異色ミュージカル。
冒頭は、戦後の劇場前にアメリカの「タイム誌」がインタビューにやってくるところから始まる。大空襲下でも、決して公演を中止しなかった一座ということで。
そこから回想形式で綴られる進行。軽い印象の青年の入団から、ヒロインと空軍将校との恋の駆け引きやら、妹分の新人青年への思慕感情などが描かれるが、頻繁に空襲シーンが登場し、どうにも明るく健全なミュージカルという印象はない。
明るい衣装や色っぽいダンス・ナンバー、幕間のコメディ的パフォーマンスなど、いかにも定番な進行も見せるが、そのどれもが、戦時下ならではの設定と進行。
本作のタイトルを冠にしたメインのナンバーは、何と「戦意発揚」の歌である。まるで戦争中に作られた作品かと見まごう。
確かに戦争初期は撤退に次ぐ撤退で追い込まれた国。ダンケルクの敗走と救助など、何度も映画化され、都度、国民が一丸となって必死に戦ったことを描いた作品も多い。
そんな作品群とひとつとして認知できようか。ゆえに、どうしても暗い。
ただ、そんな内容だからこそ、どこか影を感じさせるクール・ビューティーのリタ・ヘイワースがピタリとハマる印象。
細身ながらセクシーさを醸す存在感とダンス。しかもアメリカ出身という設定で、母国への望郷の念があり、それがストーリィにも反映されている。
ただし、他の劇団員らは全員がイギリス人設定だし、知らない俳優ばかり。なので、どうしても見慣れた印象はない。
要は明るいMGM調ではく、あまりミュージカルを得意としなかったコロンビアの制作というのも要因だろう。
戦時下での戦意発揚をベースにし、幾多の苦難を超えて公演を続ける一座という、かなり異色な設定のミュ-ジカル。
決して、明るくハッピーな大団円を想像してはいけない。