七つの雷鳴 – SEVEN THUNDERS(1958年)

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スタッフ
監督:ヒューゴ・フレゴネーズ
製作:ダニエル・M・エンジェル
脚本:ジョン・ベインズ
撮影:ウィルキー・クーパー
音楽:アントニー・ホプキンス

キャスト
デーヴ / ステーヴン・ボイド
ジム / トニー・ライト
マルトウ医師 / ジェームス・ロバートソン・ジャスティス
リセ / アンナ・ゲイラー
ブランチャード / ユージン・デッカース
アボウ婦人 / キャスリーン・ハリソン
テレーズ / ロザリー・クルチェリィ
トリベル / ジェームス・ケネディ
トラウトマン大佐 / アントン・ディフリング

日本公開: 1959年
製作国: イギリス ブリティッシュ・フィルム作品
配給: 昭映


あらすじとコメント

ドイツ出身俳優アントン・ディフリング。今回はいかにも悪役のナチス将校を演じた作品。マイナーながら面白い意匠のサスペンス・アクション。

フランス、マルセイユ1943年ドイツ占領下。収容所から脱走したイギリス兵デーヴ(スティーブン・ボイド)とジム(トニー・ライト)の二人は、レジスタンの協力を得て、この港町まで逃げてきた。

後は、暫く旧市街に身を潜めて、脱出用の船が手配されるのを待つことになった。ある夜、酒に酔ったドイツ兵に乱暴されそうになっていたリーザ(アンナ・ゲイラ─)をデーヴが助けたことから二人は恋仲になる。だが、その行為をドイツ側はレンジスタンス活動と認定し、捜索を開始。

船の手筈が、中々整わず焦るデーヴたち。そんな折、高額の報酬で密航を手助けするというマルトウ医師(ジェームス・ロバートソン・ジャスティス)の存在を知る。

しかし、このマルトウは・・・

国外脱出を試みる二名の脱走兵と周囲の人間たちが繰り広げるスリラー。

脱走兵と認知されはしないが、レジスタンスの闘志として手配されて袋小路の旧市街でドイツ軍に追いつめられて行く主人公たち。

恋仲になる小生意気な女性は当然だし、彼らが身を潜めるアパートの女家主や、曖昧宿の女主人らフランス人は同胞であるので協力的だ。

だが、紳士然とした医師は、何と脱出させると言いながら毒殺し、脱出用に持参したありったけの金品を巻き上げる男。

成程、密航希望者の成否など戦時下では誰も気に留めないし、街の人間たちは、その事実など知る由もない。

そんな彼と組む紹介屋は、未亡人を籠絡しようと戦争などそっちのけで躍起。

占領するドイツ軍にも、肥満体でヒロインに力付くで襲いかかるような下士官や、20歳になったばかりの若い兵士は自分をからかってきた子供たちに銃を向け、少女を射殺してしまうようなのもいる。

要は「前門の虎、後門の狼」的に双方に悪人がいる。これも戦時下で生き抜こうとする人間の業というか弱さでもある。

主人公は当然、身を守るためにドイツ兵を殺したりするから敵も躍起になり、果ては投降しないと旧市街を焼き払うとまで布告する。

船の手配は遅々として進まない中、殺人医師に頼るしかなくなって行くという展開。

作劇は正統派で、派手さはないものの緩急が付いて飽きさせない。

監督は、何とアルゼンチン出身のヒューゴ・フレゴネーズ。B級専門監督だがイギリス映画のティストをしっかりと咀嚼し描く。

脱出と旧市街爆破までのタイムリミットの中、小気味良いテンポでサスペンスとアクションが繰り広げられるので王道のイギリス製スリラーの面白さを感じた。

映画史に残るような佳作、秀作ではないが、個人的には割とツボにハマった。

忘れ去られたというよりも、存在すら知らない人が多い作品に違いない。

それでも、イギリス映画全盛期終盤の中で、いかにもイギリス映画らしい、鷹揚さと不安定なリズム感を紡いで進行する内容は、捨てがたい魅力がある。

余談雑談 2019年8月17日
猛暑から台風、また猛暑と慌ただしい。今年は、妙に肌寒かった梅雨明け以降、急激な猛暑。 なので廃業後、実家近くの時折行っていたランチ店が、あまりの暑さに遠く感じ、自室の近くで店を探そうと考えた。 しかし観光地であり、やはり高額傾向の店が多い。