沖縄旅の続き。台風接近で、二泊の予定を一泊に変更した渡嘉敷島滞在。初日は、時折風が吹くものの晴天だった。迎えた二日目の朝。
朝8時に出港最終決定が出ることになっていたが、島民らの予想に反し、朝一の小型高速艇のみの出航で、以後は全便欠航との情報がもたらされた。
宿の方から9時15分に出発して、港へ向かいます、と。久々の二泊予定だったのにと、後ろ髪を引かれる思いもあったが、致し方あるまい。
船着場に付くと、乗船希望者の長蛇の列。赤子連れの若い母親や、欧米アジア各国の外国人、若者のグループなど、全員乗れるのかと疑問符が付くほどの人数。
まるで昔見たパニック映画。まあ、阿鼻叫喚の図ではなく、黙々と並んでいるのが幸いだが。既に、乗船券を得た人間たちは待合室に陣取ったり、不安気に外で港の状況を見ている。
これほどの人に慣れていないのか、数人の職員が右往左往。外国人の中には大型トランクを持ち、窓口でスマホの翻訳アプリを駆使し、会話を試みるのもいて、遅々として進まない。
出航時間が近付いてきて、予約済みの方はいらっしゃいますか、と職員が声を上げた。列に並ぶ自分と、もう二人が手を挙げた。しかし、周囲を見回して、そのままお待ちくださいとの返答。ちぇ、何だよ。
刻々と出航時間が近付き、いよいよ自分の番が来た。すると窓口の職員が、暫くお待ちくださいと席を立ち、他の職員らと相談を始めた。何とも慌ただしくなった。
すると、窓口職員が戻り「満員になりそうで、全員は乗船できません。現在、こちらに向かっている船と連絡を取り合い、出航後、那覇からもう一度来られるかを相談中です」だと。俄かに列が騒がしくなった。
当然だ。しかし、何で自分の番でだよ。本当にヒッチコック映画の主人公になった気分だ。堪らず、予約してる、と。
職員の顔色が変り、ならば乗船可能です、あくまでフリーの方への発言です。
事なきを得た。坐れない乗客もいて、かなり揺れながら40分で那覇に戻れた。乗れなかった観光客たちはどうなったのか。本当に最低二泊はしたのかな、とか考えたが、自分優先だ。
沖縄本島は直撃しなかったが突風とスコールが突如吹き荒れ、ホテルのビニール傘を2本も壊した。そんな状態で、ホテル近隣しか外出できず、最終日まで本当に引き籠り状態だった。
全く何をしに行ったのか。これじゃ、「雨男」ではなく、「台風男」になるじゃないか。
でも、興味深かったのは、突然の天気激変でも、台風時沖縄の人は傘を使用しない。無理矢理傘を差そうとして悲鳴を上げ、傘を壊すのは観光客だけだとも解った。
絶対にタクシーを使わないと考えていたが、二回ほど使用した滞在。ちょっと、無駄遣いだな。ビール三杯分は損した。
しかも、帰京日には空港も台風余波で人が溢れ返っていた。確かに宮古島や離島便は欠航が相次いでいたしな。満員の便で帰京。
戻ったは良いが、今度は関東直撃の強烈台風が接近中。
いやいや、これは自分の所為ではないぞ。連れて来たんじゃないし。別な台風だからな。
結果、その台風は首都圏に甚大な被害を出した。こちらは引き籠って、難を逃れたが、一週間近く経つのに未だに不便を強いられている人々も数多い。
でもな、四日間で二つの台風に遭遇するとは、どうよ。