ジャッカ─ – COHEN AND TATE(1988年)

スタッフ
監督:エリック・レッド
製作:A・R・アイザック、ジェフ・ヤング
脚本:エリック・レッド
撮影:ヴィクター・J・ケンパー
音楽:ビル・コンティ

キャスト
コーエン / ロイ・シャイダー
テイト / アダム・ボールドウィン
トラヴィス / ハーレイ・クロス
トラヴィスの父 / クーパー・ハッカビー
トラヴィスの母 / スザンヌ・サヴォイ
ジョージFBI捜査官 / マルコ・ベレラ
ハイウェイ・パトロール / フランク・ベイツ
フレッドFBI捜査官 / トム・キャンビテッリ
ロイFBI捜査官 / アンドリュー・R・ギル

日本公開: 1990年
製作国: アメリカ アイザック&ヤング作品
配給: ギャガ


あらすじとコメント

「マラソンマン」(1976)でアクション系俳優としても認知できたロイ・シャイダー。「JAWS」(1978)の印象が強いかもしれぬが、かなりの作品に主演している。本作も、その一本。B級ながら、そこそこの作品。

アメリカ、オクラホママフィア間の抗争殺人を目撃した9歳になるトラヴィス(ハーレイ・クロス)。彼は裁判証人として、両親と共に草原の一軒家に保護されていた。護衛はFBI捜査官3名。

トラビス自身は愛犬と戯れたり、伸び伸びとしていたが、大人は別だった。そんな時、突然、コーエン(ロイ・シャイダー)とテイト(アダム・ボールドウィン)が襲撃して来て、一瞬にして大人たちを血祭りに上げた。逃げだすトラビスだが、すぐに捕まってしまい二人が乗って来た車に監禁されてしまう。

「坊主、オマエの話を尋きたいという人間が待っている」先ほどの惨劇を目の当たりにした少年が質問する。「その後は濮どうなるの?殺されちゃうの?」「多分な」

そうコーエンが答えるとヒューストンに向け走りだした・・・

殺し屋二人と少年の道行きを描くクライム・アクション。

補聴器を付けながらも、ヴェテランの風情漂う殺し屋と、いかにも知能が低く、直情型で人を殺すような若い殺し屋。

彼らに捕らわれた少年が600キロ近く離れた場所まで連行される内容。

証人保護プログラム対象者を巡る官憲側と犯罪者の攻防を描く作品はかなり作られた設定である。

通常は守る側が圧倒的劣勢ながら何とか逃げ延びようとする作品が多いが、本作は逆。しかも相手は少年である。

登場人物は、ほぼこの三人で、しかも車中がメイン。

そんな設定で面白いかと勘繰るかもしれないが、なかなかイケてる筋運びなのた。

30年も一匹狼として生きてきたいかにもプロの殺し屋だが、組織側が年齢的に不安があると強引に新人と組まされて不機嫌。その相手が、ショットガンを常に離さない知能が低そうな若い男。今回が初顔合わせで、お互いに不信感を持っているコンビ。

それを見抜いた少年が、何とも「あざとい」というか、「小生意気」で大人二人よりも人間観察力に長けているから始末に悪い。

初老の方が冷静で、若干人間味があるとみると若い方を挑発したり、何かに付け、相互不信感を増幅させたりしようとしていく。

しかも、到着すれば殺されると知っているから隙あらば逃げだそうとも思っている。

事実、逃げだしたりして警察に保護されるが、そこから更に恐怖と不安が待ち構える展開。

かなり低予算で、少年が目撃した過程は字幕で処理。そして惨劇は、街中ではなく、草原の中の一軒家で起きる。以後は車をメインとしたロード・ムーヴィーにシフトし、心理的サスペンスと、派手さはないアクションで紡がれていく。

ある意味、アイディアと脚本勝利の作品。見る側は少年が殺されることはないだろうなと推察できるが、果たして殺し屋二人の分裂が起きるのかやら、警察に知れた以後の展開など、どのような落とし所に持っていくのかと期待は高まる。

世代とタイプの違う男三人の駆け引きがメインなのだが、この設定が上手いと感じた。

あくまで低予算の典型的B級クライムで、そもそもB級ばかりで主演を張っていたロイ・シャイダー以外に、よく見る脇役も登場しない。

ゆえに登場してくる脇役が、どの程度活躍するのかとか、死んでしまうのかも解らず、興味を持続させる。

佳作とまではいわないが、妙味溢れる作品。

余談雑談 2019年9月28日
もうすぐ消費増税である。ここしばらくTVでは、消費者対策的指南が目立った。 「増税前」と「増税後」では、何がお得かとか、大小のチェーン、業界によってバラバラなサービスをするらしく購入消費者が独自で精査しないといけないらしい。 結局は、シロウ