モダン・ミリー – THOROUGHLY MODERN MILLIE(1966年)

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スタッフ
監督:ジョージ・ロイ・ヒル
製作:ロス・ハンター
脚本:リチャード・モリス
撮影:ラッセル・メティ
音楽:エルマー・バーンスタイン 他

キャスト
ミリー / ジュリー・アンドリュース
スミス / エドワード・フォックス
ドロシー / メアリー・タイラー・ムーア
グレイドン / ジョン・ギャヴィン
マジー / キャロル・チャニング
ミアーズ婦人 / ベアトリス・リリー
チン・ホー / ジャック・スー
バン・フー / パット・モリタ
ティー / フィリップ・アーン

日本公開: 1967年
製作国: アメリカ ロス・ハンター・プロ作品
配給: ユニバーサル


あらすじとコメント

前回の「モダン・タイムス」(1936)は大恐慌時代を扱った歴史的名作。今回もタイトルに『モダン』が付き、大恐慌前の激動の時代をミュージカル仕立てにした作品。

アメリカ、ニュー・ヨークカンサスからやって来たミリー(ジュリー・アンドリュース)は、独身の金持ちと知り合って結婚するのが夢だった。ところが、地元とはまったく違う最先端の流行に驚き、先ずは格好からと「モダン・ガール」に変身した。

次は住居探しだと歩いていると、女性専用宿を発見。これは幸いとがばかりに入ろうとすると、タクシーで乗り付けてきたドロシー(メリー・タイラー・ムーア)に先を越されてしまう。何とも身勝手な行動に閉口しつつも、そこはお互いに地方からでてきた身上。すぐに仲良くなり、お互いにそこの住人と相成った。

ところが、そこの女主人ミアース(ベアトリース・リリー)は、裏で・・・

狂乱の時代を背景に明るく生きる女性を描くミュージカル。

大都会に憧れ金持ちとの結婚を夢見るヒロインと女優を目指す友人。そこにオッチョコチョイな青年と独身貴族的社長が登場してくる。

更に、金持ちの未亡人や怪しげな宿の女主人が絡みながら、楽しげなミュージカルとして進行していく。

本作が興味深い点は時代設定。ジャズが流行し、チャールストン・ダンスは大人気、女性の社会進出も本格化し、金満家たちは盛大なパーティーを催し気儘に大騒ぎしている。

正に「狂乱の20年代」をしっかりと描きだし、成功者と成功を夢見る地方出身者の対比をベースに、サイレント映画のチャプリンやバスター・キートンを意識した場面、禁酒法下の闇酒場など、実に、これぞ「その時代」という構成。

ただし、悪役は中国系であり、チョイ役でも黒人は出てこないのも制作された当時の時代的配慮だろうか。

そんな悪役の手下の二人組が、黒澤明の「隠し砦の三悪人」(1958)の藤原鎌足と千秋実を連想させる。

何せ、明るく楽しいミュージカルを意識的に作っているので、何とも不思議な感覚にも陥った。

それに特に女性活躍を強調した作劇であり、オイシイ場面は女性のみが活躍し、男性は完全なるコメディ・リリーフ扱い。それは悪役側も然り。

ジョージ・ロイ・ヒル監督の「明日に向って撃て!」(1969)以前の模索とも受け取れるし、布石であろうかとも感じる。

衣装やセットなどのこだわりも随所に見て取れるし、敢えてか知らずか、カットの繋ぎに違和感を残す編集や、メリハリを考えた画面構成もあざとさを印象付ける。

それでも、何度も登場してくる狭いエレベーターの中でタップを踏まないと昇降しないシーンは、毎回違う演出で面白いと感じた。

キャストがミュージカル場面の遠景になると代役と入れ替るのがハッキリと解ったり、俳優によっては、やり過ぎ感があり、リズム感が途切れるシーンもあるが、細かいところには目を瞑り、あくまで娯楽ニュージカル大作として鑑賞するのがベター。

2時間30分にも及ぶ長尺であり、豪華絢爛な衣装とセット、ジュリー・アンドリュースの風格などを楽しむ作品としては興味深い。

余談雑談 2019年10月19日
先週土曜日の台風。「ハギビス」という名前がついていたとは知らなかった。名前が付くのはアメリカの方だけで、こちらは「何号」だけではなかったんだ。 しかし、それにしても甚大な被害が大規模に渡り、ひとつの台風がこれほどの災害を引き起こす時代になっ