スタッフ
監督:ロバート・デイ
製作:スメドリー・アストン
脚本:ジョン・ウォーレン、レン・ヒース
撮影:ジェフリー・フェイスフル
音楽:ケン・ジョーンス
キャスト
レーン / ピーター・セラーズ
スティーヴンス / ウィルフリッド・ハイド・ホワイト
ナイト / デヴィッド・ロッジ
プライス / バーナード・クリビンス
クロー / ライオネル・ジェフリーズ
所長 / モーリス・デナム
エセル / リズ・フレイザー
プライスの母親 / イレーネ・ハンドル
プリングル婦人 / ベリル・レイド
日本公開: 1962年
製作国: ブリティッシュ・ライオン・フィルム作品
配給: 大映
あらすじとコメント
ヨーロッパ製犯罪コメディで続ける。フランス、イタリアと来たので、今回はイギリス製。収監中の囚人連中が巻き起こすダイヤ強奪騒動の顛末。
イギリス ハントレイ刑務所一応の模範囚レーン(ピーター・セラーズ)、金庫破りのナイト、スリのプライスは一緒の房だ。
とはいっても、天国のような刑務所で、差入れし放題だし、所長は革新派で肉体労働よりも出所後の社会復帰のために、楽な作業で技術を身に付けさせようとしているし、刑務主任はレーンの房に来て、闇購入のケーキとお茶を飲むほどの仲でもあった。
つまり、このまま半年もすれば三人揃って仮出所である。そこにレーンの教区の担当牧師(ウィルフレッド・ハイド・ホワイト)という男が訪ねてきた。
牧師の顔を見たレーンは・・・
完璧なアリバイを利用して窃盗計画を遂行するコメディ。
天国のような環境の刑務所で、ある意味優雅に過ごす囚人三人。そこに彼らだけ逮捕させて自分はのうのうと普通に暮らす仲間がやってくる。
しかも200万ポンドのダイヤを輸送途中で強奪しようとする計画を携えて。
主人公は、訪ねてきた仲間が、捕まったのは、お前らのミスだろと平然と嘲笑うので怒り心頭だが、あまりにも高額で心は揺らぐ。
しかも、強奪の晩だけ刑務所を抜けだし朝に戻れば鉄壁のアリバイだろ、と。
成程と納得し、細かいプランを立て始めるが、定年退職した優しき看守長の代わりに赴任してきたのが鬼看守長。
そうなれば当然、計画変更を余儀なくされ、次々と難問が立ちはだかって来る展開。とはいっても、目的はダイヤ強奪なのだが。
果たしてどうなるのかというコメディ進行。
しかも大掛かりな仕掛けや突拍子もないアイディアではなく、登場してくるのは小ネタ系ばかりではある。
それでも、幾つも笑える場面がでてきて何とも微笑ましい展開。
主役のセラーズも鼻に付く「やり過ぎ感」はなく、違和感なく見て行けるし、兄貴分役のウィルフレッド・ハイド・ホワイトも相変わらず飄々としていて面白い。
他の脇役に馴染みの名優が起用されていないのだが、逆にイギリス映画の俳優たちの懐の深さを感じられるから微笑ましくもある。
しかも全体のトーンもアメリカ的ドタバタ力技でなく、少し斜に構えてシニカルなイヤミ系イギリス喜劇らしさを醸しだすのも加点。
笑いのツボは国民性もあり、何故、これが面白いのと感じる作品も多く、また、感じ方も国民性ではなく個人の感覚でもある。
確かに、秀逸な喜劇ではないし、いつまでも印象に残るような作品でもない。
ただ、予定調和でありながら、そこに行き着く伏線の張り方や、設定に、ある程度説得力があるとも感じた。
まあ、コソ泥的悪党たちがメインだし、これぞ大団円てなラストはあり得ないだろうと確信しながらも、安心して見ていけるコメディ。
ただし、ラストのオチはどうなのよ、とも思うが。