クワイヤボーイズ – THE CHOIRBOYS(1977年)

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スタッフ
監督:ロバート・アルドリッチ
製作:マーヴ・アデルソン、リー・リッチ
脚本:クリストファー・ノップ
撮影:ジョセフ・ビロック
音楽:フランク・デ・ヴォル

キャスト
ウェーレン / チャールス・ダニング
モッツ / ルイス・ゴセット Jr
タニグチ / クライド・草津
スレイト / ペリー・キング
ルールズ / ティム・マッキンタイア
ブルームガード / ジェームス・ウッズ
プラウスト / ランディ・クェイド
スクージ巡査部長 / バート・ヤング
リッグス本部長補佐 / ロバート・ウェバー

日本公開: 1978年
製作国: アメリカ ロリマー・プロ作品
配給: 日本ヘラルド


あらすじとコメント

今回もロバート・アルドリッチ監督晩年の作品。男性派の彼が如何にも好きそうな題材で、警官たちの日常を追った集団群像劇。

アメリカ、ロサンジェルスとある市警に、定年間近のウォーレン(チャールス・ダニング)や、アフリカ系のカルヴィン(ルイス・ゴセットJr)などの個性的な面々が揃って勤務していた。

彼らは常にコンビを組み、町で起きる様々な問題や事件に対応していた。そんな彼らは「聖歌隊の練習」と称して、深夜、公園の小さな池に集まり酒を9飲んで酔っ払っては鬱憤を晴らしていた。

ある晩、自殺志願者の黒人女性を引き止めにビルの屋上に行ったのが、差別主義のロスコー(ティム・マッキンタイア)だったことから・・・

等身大の悩める警官たちの日常を描くドラマ。

反抗的で20年勤務の年金を減額されそうなヴェテラン警官。ヴェトナム戦争で生き残ったが、以後、閉所恐怖症になった者、真面目だがドジ、変態気味の警官など、実に個性的な面々。

中には仕事もテキトーな奴がいたり、風紀係へ期間限定で出向になってドジを踏む奴や、逆に臨時雇いの警官と組まされたりと誰もにストレスが溜まりまくる進行。

だから、「クワイヤ・ボーイズ」、即ち『少年聖歌隊』と称してドンチャン騒ぎを繰り返す。

それも羽目を外しすぎることもあり、大小の問題をも生みだしていく。

いかにもアルドリッチ御大の好きそうな男性ばかりの下品な集団という設定なのだが、どうにもアルドリッチらしさがないと感じた。

スケール感もないし、極悪犯罪者や強烈な悪役も存在しないし、警官側も、実に地味で等身大な悩みばかり。

これが現実なのだろうが、映画としては妙味に欠ける設定と進行でもある。

大小の問題がでてくるが、総じてメリハリがない。警官たちが主役設定では、強烈な体制批判にも出来ないからか。

ただし、誰にも闇なり影があり、それが人間性の欠如へと派生させていき、問題を引き起こしていく。

そこいらに焦点を当てているが、今度は、俳優たちの線の細さというか、群像劇にしてはアンサンブル感に欠けるから、どうにもノリが悪い。

ワイワイと騒ぎながらの仲間意識で、各々の人生を乗り切ろうとするスタイルは、アメリカでは当然の『仲間意識』として受け入れられるのだろうか。

結果、ヴェトナム戦争へのアンチテーゼで、体制側に翻弄され、他民族の命懸けの攻撃を潜り抜けてきても、結果、自国でも絶望感しかないという負のスパイラルを描きたかったのかもしれぬ。

それにしてもアルドリッチらしくない。

余談雑談 2020年3月14日
おいおい、もう開花かよ。「江戸っ子は、せっかち」と言われた。要は、慌てん坊、勇み足的な気質。 しかも開花は観測史上最速。これも、昔の江戸っ子の言い回し、単純に「何でも一番乗り」。しかし、それにしても世界中が同じく前倒し傾向。 そんな世情に付