ワン、ツー、スリー/ラブハント作戦 – ONE, TWO, THREE(1961年)

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スタッフ
監督:ビリー・ワイルダー
製作:ビリー・ワイルダー
脚本:B・ワイルダー、I・A・L・ダイヤモンド
撮影:ダニエル・L・ファップ
音楽:アンドレ・プレヴィン

キャスト
マクナマラ / ジェームス・キャグニー
ピフィル / ホルスト・ブッフホルツ
スカーレット / パメラ・ティフィン
フィリス / アーリン・フランシス
シューリーマー / ハンズ・ローザー
フリッツ / カール・リーフェン
ヘーゼルタイン / ハワード・セント・ジョン
ペリペチコフ / レオン・アスキン
憲兵軍曹 / レッド・バトンズ

日本公開: 1962年
製作国: アメリカ ミリッシュ・カンパニー作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

ビリー・ワイルダーで繋げる。珍しく原作はなく、オリジナル作品で東西冷戦を皮肉ったコメディ。

西ドイツ、ベルリンコカ・コーラのベルリン支社長マクナマラ(ジェームス・キャグニー)は、成績を上げようと獅子奮迅の日々であった。

そんな彼にアメリカの社長から電話が来た。17歳になる娘スカーレット(パメラ・ティフィン)がヨーロッパ遊学中で、そっちに行くから、2か月ほど面倒を見てくれと依頼される。嫌な予感がするが、これも出世のためと妻を説き伏せて彼女を待つことにした。

ところが、このスカーレットという娘は、既に4度の婚約をし破棄してきた強者。それでも所詮、小娘だとバカにしていたが、実は夜な夜な東側に行っては遊び惚けていた。自分の仕事ばかりに気が行き、そんな事実を何も知らないマクナマラだったが、社長夫妻がヨーロッパ歴訪のついでに娘に会いに来ると言いだした。

慌てるマクナマラに彼女が共産主義者の青年ピフル(ホルスト・ブッフホルツ)と結婚したと告白してきて・・・

出世を夢見る男と東西冷戦を揶揄したコメディ。

出世しか頭にない猛烈タイプのサラリーマン。しかも本社勤務は栄転ではなく「一丁上がり」ポジションだとも思っていて家族をも翻弄している。

そこに超身勝手でワガママ放題の17歳のブルジョワ娘が絡み、本来簡単には行けない東側に潜入し恋人まで作ってしまう。

両親の社長夫妻がやってくることになり、上へ下への大騒ぎという展開。

何といっても、実にワイルダーらしくない台詞の多さに驚いた。まるで、映画史上一番台詞量とされる「ヒズ・ガール・フライデー」(1940)に匹敵する迫力である。

要は典型的スクリューボール・コメディなのである。しかもオリジナル。

これもワイルダーとしては珍しい。本来は、舞台劇なりの原作を名コンビと謳われる歴代の脚本家と紡いで練り上げる作品が多い。

完全にサイレント時代のスラプスティック・コメディの要素も散りばめ、実にワイルダーらしくない。

そこに犯罪映画の雄ジェームス・キャグニーという意表を突くキャスティング。

そんな彼に凄い早口で捲し立てさせ、矢鱈細かい数字が列挙され、混乱させてくる。

息つく暇なく、次から次へと問題が起き、それを素早くいかにもできるビジネスマン然として対処しようとしていく主人公。

東西の価値観の格差が常に際立つ台詞のやり取り。どちらも正しくもあり、正しくもないからギャグになる。

ただ、やはりその時代のある程度は細かい背景を知らないとギャグは錆びるとも感じる。アメリカの国務長官名や政治的騒動など。

それを踏まえた上で鑑賞するとやはり時代性は感じざるを得ない。

そもそも『東西冷戦』など、意味自体が分からない若者が増えているのも事実。

ただし、異文化なり政治的背景を対比させるコメディとしては良く出来ている。

余談雑談 2020年5月23日
梅雨の走りのような東京。何とはなく自粛ムードも緩和と持続が両立している気がする。 することもないし、天気の良い日は、ランチのために散歩を兼ね、少し遠くの店を目指す。大体が地元を離れ、橋を渡って、隣町の最長電波塔近くの店まで行きもする。 二軒