チャイナタウン – CHINATOWN(1974年)

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スタッフ
監督:ロマン・ポランスキー
製作:ロバート・エヴァンス、A・ブラウンズバーグ他
脚本:ロバート・タウン
撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

キャスト
ギテス / ジャック・ニコルソン
イヴリン / フェイ・ダナウェイ
クロス / ジョン・ヒューストン
エスコバー / ペリー・ロペス
アイーダ / ダイアン・ラッド
イエルバートン / ジョン・ヒラーマン
マルヴィヒル / ロイ・ジェンソン
ウォルシュ / ジョー・マンテル
マルウォリー / ダレル・ツヴェリング

日本公開: 1975年
製作国: アメリカ ロングロード・プロ作品
配給: パラマウント


あらすじとコメント

今回も魅力的な私立探偵が活躍する作品。やはり、ノスタルジックな雰囲気が爆発するオリジナル・ストーリィの佳作。

アメリカ、ロサンゼルス私立探偵ギテス(ジャック・ニコルソン)は、自分ではイケてる男だと自惚れているが、実際は、浮気調査ばかりが舞い込むしがない男。

その日は、ダム建築技師の妻が、亭主の浮気調査依頼にやってきた。毎度の通りに調査を進め、堅物で真面目そうなタイプに見えた技師だったが、若い女性と親しげにする現場を写真に収めた。

そんな技師は、現在計画中のロサンゼルス川の新設ダム建設に疑問を持ち、街の実力者クロス(ジョン・ヒューストン)と対立していることも知った。だが、ギテスには関係ないことでもあった。

ところが、彼が手渡した写真が何故か新聞に掲載され、建設技師のスキャンダル・ゴシップとして扱われたことで事態が急変。ギテスの事務所に弁護士同伴で技師の妻が訴訟するとやって来た。

しかし、そこにいる妻イヴリン(フェイ・ダナウェイ)は、調査を依頼してきた女とは、まったくの別人だった・・・

私立探偵が巻き込まれるドス黒い世界を描く佳作。

ダブルのスーツに、ソフト帽を被る私立探偵。中々、魅力的なキャラクターだが、原作はなく本作用にオリジナルで誕生した。

それまでのハードボイルドのタフな探偵やら、しがないセミ離脱者とも違う設定で、興味深いキャラクターである。

格好付けているし、ある程度知的ではあるが、どうにも神経質さも浮かんで、どこか頼りない。

そんな彼が利権渦巻くダム建設という巨大プロジェクトの闇に巻き込まれ、更に、信じがたい人間関係の渦中に放り込まれて翻弄されていく。

制作当時、「スティング」(1973)、「ペーパー・ムーン」(1973)など、1930年代前後の時代をケレン味たっぷりに描く『ノスタルジー映画』が数多く制作され、本作もその一本である。

実年代よりも半世紀とまではいかないが、それに近い『昔』を設定する。

年長者には、子供や青年時代といった多感な時期を過ごし、それ以後に第二次大戦をも経験した。逆に、若い世代には、妙に『古臭さ』を喚起させる。それがツボに嵌り、数多く制作された。

しかし、本作は、少し毛色が違う。それは間違いなくロマン・ポランスキーという異常性を伴う作家による作品であるからだろう。

カルト集団に妻であったシャロン・テートを惨殺され、以後、間違いなく闇を抱えたまま多くの作品を輩出している。

そんなポランスキーは本作でもチンピラ役で出演し、強烈な悪臭を放っている。実力者役のジョン・ヒューストンは映画監督でもあり、実際に本作の時代設定時には「ロスト・ジェネレーション」としてパリなどで活動していた御仁。

そして、ヒロインを演じるフェイ・ダナウェイは絶妙な『イヤらしさ』を振り撒き、大恐慌を経て第二次大戦へと向かっていく時代背景に妙に、マッチした作品に仕上がっている。

しかし、何とも絶望的で虚無感に襲われる作品であり、後味は決して良くない。

余談雑談 2020年7月11日
武漢肺炎の第二波到来かとうるさい。その所為か、TV情報番組等でも、スタジオに距離感を取りながらのゲストの復帰が始まったかと思ったら、またもやリモート出演に逆戻りと忙しい。 ロケがメインの旅番組でも、出向いての収録再開から、また変更なのだろう