狼たちの街 – MULHOLLAND FALLS(1996年)

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スタッフ
監督:リー・タマホリ
製作:R・D&L・F・ザナック
脚本:ピート・デクスター
撮影:ハスケル・ウェクスラー
音楽:デイヴ・グルーシン

キャスト
フーヴァー / ニック・ノルティ
キャサリン / メラニー・グリフィス
クーリッジ / チャズ・パルミンテッリ
ホール / マイケル・マドセン
レルイー / クリス・ペン
アリソン / ジェニファー・コネリー
フィッツジェラルド / トリート・ウィリアムス
マッカファーティ / ダニエル・ボールドウィン
ティムス将軍 / ジョン・マルコヴィッチ

日本公開: 1996年
製作国: アメリカ ラーゴ・エンター作品
配給: 日本ヘラルド


あらすじとコメント

今回も、1990年代に制作された、舞台設定が1950年代というクライム系ノスタルジー映画第2世代の作品をチョイスしてみる。前回同様、警察組織自体にも闇があるという骨太の犯罪映画。

アメリカ、ロサンジェルス朝鮮戦争が始まった1950年代初頭。治安が悪化し、ロス市警は対ギャング強硬取締り対策として「ハット・スクワッド」を組織した。

責任者はフーヴァー警部補(ニック・ノルティ)だ。他にクーリッジ(チャズ・パルミンテッリ)、ホール(マイケル・マドセン)、レルイー(クリス・ペン)の四名編成。彼らはロスに乗り込んでくる他都市のギャングたちに対し、彼ら以上の暴力で恐怖感を植え付け、二度と来ないようにするのは朝飯前だった。

ある日、新興住宅地用の宅地でフーヴァーの元恋人アリソン(ジェニファー・コネリー)の変死体が見つかる。だだっ広い場所に他者の痕跡が一切なく、しかも、強烈なる力で地面に叩きつけられたような死体。かつてない死体に、流石の軍団も困惑する。しかも、死体はボスの元恋人だ。

その後、彼の元にアリソンと知らぬ男の情事写真といくつかの軍関連施設の写真が送られてきて・・・

暴力的警察と国家的秘密が絡む骨太ドラマの佳作。

アメリカ開拓魂の流れを汲む「暴力警察」。力により敵に恐怖と服従を強いる方法でねじ伏せるスタイル。

人権など二の次、それよりも下の人間は人間性すら切り捨てられるという国家的闇まで描く。

冒頭のスローモーションで強行班4人が乗る車の場面から、50年代初頭の雰囲気が充満し、只ならぬ期待感を抱かせる。

そしてシカゴから進出してこようとしたギャングを崖から落とし、二度とロスに来るなと平然と言う。どちらがギャングなのか解らぬほどの迫力だ。

そして主人公の元恋人の複雑怪奇な死体から、日本人なら目を覆いたくなる真実に辿り着いていく。

当然、そこには警察対国家権力、そして軍部というアメリカのタブー的闇を描きだしていく展開。

何よりも刑事4人組が服装といい、面構えといい、見事にアメリカ開拓時代から脈々と流れる開拓者魂というか、男たるもの命懸けで守るべきものを守るというスタンスにしびれた。

日本における正調派時代劇や仁侠映画とも違う、『男たちによる絶対正義』の存在。

人権やハラスメントの問題が顕著化していた90年代に、逆に「男が男であった時代」に郷愁を馳せた50年代に照準を合わせたクライム映画が多く制作されたのだから興味深い。

既に西部劇で先住民を単細胞な悪役としても描けず、第二次大戦ではナチス以外は短絡的な敵としても描けず、自主規制的足かせの制限だらけで企画的に行き詰まり感があったゆえの、本作のような『かなり昔』だから許してねという映画が製作されること自体、映画界も疲弊していたのだろうなと感じた。

それを加味しても、否や、差し引いても、本作は骨太の男性映画であり、好みだ。

余談雑談 2020年8月1日
梅雨が明けない東京。それでも先立て、通院途中にセミの鳴き声が聞こえた。梅雨明けも近いのだろう。 そして行った病院では、こともあろうに、てなことが待ってやがった。 前回行ったときに、骨折部に超音波を当てて治療する機械を貸し出すので、自宅で毎日