いつか見た青い空 – A PATCH OF BLUE(1965年)

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スタッフ
監督:ガイ・グリーン
製作:パンドロ・S・バーマン
脚本:ガイ・グリーン
撮影:ロバート・パークス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

キャスト
ラルフ / シドニー・ポワチエ
セリーナ / エリザベス・ハートマン
ローズ・アン / シャリー・ウィンタース
オール・パパ / ウォーレス・フォード
フェイバー / ジョン・クォーレン
ラルフの父親 / アイヴァン・ディクソン
サディー / エリザベス・フレイザー
5歳のセリーナ / デビ・ストーム
ヤネク / ケリー・フリン

日本公開: 1966年
製作国: P・S・バーマン・プロ作品
配給: MGM

あらすじとコメント

今回も「黒人」ゆえの被差別を描いた作品にしてみた。そこに絡むのは、目の不自由な白人少女。慎ましくも絶望的な関わりを描く人間ドラマ。

アメリカ、ロサンジェルスサングラスをして、公園の木の下でビーズ刺繍をする少女がいた。18歳になるセリナ(エリザベス・ハートマン)だ。彼女は5歳の時に、母親ローズ・アン(シェリー・ウィンタース)の浮気から父親と喧嘩に発展し、そのとばっちりで全盲になった。

当然、以後、内向的になり、引き籠り生活が続いた。それでもやっと前を向く決心をした彼女は頼んでビーズ刺しの内職をするようになった。彼女にとっては、作業自体はどこでしても同じだが、公園の木陰では風を感じ、心地良さを楽しめるので好きだった。

ところが、木から毛虫が落ちてきて、初めての体験で何が起きたか理解できずパニックを起こした。そこに通りかかったラルフ(シドニー・ポワチエ)が、毛虫を払い、散らばったビーズまで拾い集めてくれた。

初めて知る異性の優しさ。そして刺繍の手伝いまでしてくれ、色々と話をしだして・・・

被差別対象である二人の心の触れ合いを描く良心作。

両親の喧嘩から全盲になった少女。そして真面目な黒人青年。

二人の心のふれあいから、少女が初恋をするのは当然の成り行きだろう。

スタートはありがちだし、その後の展開も一筋縄ではいかないとも想像は付くか。

そんな二人の間に立つのは少女の母親である。そもそもヒロインが全盲になる原因を作ったのは母親の浮気。

そして、今度は売春斡旋業をしようと考えているようなタイプ。黒人への差別意識は強い。

ある意味、情報不足というか、無知ゆえに寛容性に欠ける典型的タイプ。理性よりも感情最優先。そして娘を支配しようとし、正論を吐く青年も黒人だからと全否定。

そんな母親と暮らしてくれば、逆に、ささやかな思慕の情からヒロインの感情が逆撫でされ燃え上がっていくのも当然の帰結だろう。

しかし、主人公の青年はあくまでもクールである。虐げれてきた歴史が長く、簡単に価値観なり社会的な概念は変えられないとも知っている。

かなり悲惨は過去を持つヒロインとそれを知ったうえで包容力で対応する主人公。

こういう役を演じさせるとポワチエは実に上手いと感じさせる。

白人が思い描く真っ当で知的な黒人。「野のユリ」(1963)でアカデミー主演男優賞を獲った後は、本作や、自殺志願者の最後の砦となる電話相談窓口の相談員役という本作同様、相手には黒人であると分からない状況で『人間』として対応していく「いのちの紐」(1965)。

逆に、眼に見える存在で本作のヒロインの母親のような集団が暮らす中で殺人事件をクールに解決へと導く「夜の大捜査線」(1967)など、黒人地位向上に貢献した俳優と呼べよう。

ただし、あくまで、白人視点でのという括弧が付くが。

何よりも、ジェリー・ゴールドスミスの切ないピアノの旋律がいつまでも耳から離れない音楽が秀逸であり、人生同様、単純に事は運ばないとも教えてくれるヒューマン・ドラマ。

余談雑談 2020年8月22日
そろそろ暑さの峠も超えるか。一方、こちらは消沈続きだ。 足首二ヶ所の骨折。当初、手術は上手く行き、脱着式簡易ギプスでの療養であった。 ところが、歩き過ぎと叱られ、内くるぶし側の骨が乖離傾向と言われ、いかにもの大袈裟な見栄えの石膏ギプス姿にな