スタッフ
監督:ジョン・ブアマン
製作:ジャド・バーナード、R・チャートフ
脚本:A・ジェイコブス、D・ニューハウス他
撮影:フィリップ・ラズロップ
音楽:ジョニー・マンデル
キャスト
ウォーカー / リー・マーヴィン
ヨスト / キーナン・ウィン
クリス / アンジー・ディッキンソン
リース / ジョン・ヴァーノン
ブルースター / キャロル・オコナー
カーター / ロイド・ボックナー
リン / シャロン・エイカー
ステグマン / マイケル・ストロング
殺し屋 / ジェームス・シッキング
日本公開: 1968年
製作国: バーナード&ウィンクラー・プロ作品
配給: MGM
あらすじとコメント
前回の「汚れた7人」(1968)はロバート・スターク原作の『悪党パーカー』シリーズの映画化。本作も、そのシリーズの映画化。リー・マーヴィンの魅力が炸裂するクライム作。
アメリカ、サン・フランシスコ1年前、仲間と共謀して現金を強奪したが、裏切られ瀕死の重傷を負ったウォーカー(リー・マーヴィン)。
そんな彼に某組織のヨスト(キーナン・ウィン)が接触してきて、裏切った相棒リース(ジョン・ヴァーノン)と寝取られた妻の居場所を教えた。リースが幅を利かせる組織の実権を奪いたいからだ、と。
怒りと恨みに燃えたウォーカーは教えられた家に行ったが、そこには妻しかいなかった・・・
自分の取り分に確執する犯罪者の非情さを描く作品。
戦友で相棒だった男に裏切られ妻まで寝取られた男。
裏切りの原因は、予定額よりも強奪金が少なく、相棒は組織に上納しないと殺されるから。
それだけの理由なのだが、情緒不安定気味の妻まで共謀していたから複雑な心境にもなるか。
それでも、主人公の悪党は、あくまで『自分の取り分』のみ取り戻そうとする、些か理解に欠けるタイプ。とは言っても、そこに美学を感じさせるのだから妙味でもある。
しかし、彼の金は組織が握っていて、結局、組織相手に単身対決を挑んでいく展開となる。
当然、組織のボスたちやら小悪党が絡んで、大した金額でもないのに男の意地とプライドを賭けて闘っていく。
何よりも主役のリー・マーヴィンのクールで非情さを漂わす悪党っぷりが実に見事。特に拳銃を構える格好など、何ともシビれる。
相手役も、色っぽいアンジー・ディッキンソンだし、キーナン・ウィンやジョン・ヴァーノン、キャロル・オコナーなど60年代の犯罪映画を牽引してきた渋い役者が顔を揃えている。
ストーリィ自体も、当時としては二転三転していくので妙味もある。
しかし、それ以上に、兎に角、マーヴィンの格好良さで押し通してくる。
メル・ギヴソンによって「ペイバック」(1999)としてリメイクされているが、筋運び以外は比較してはいけない。それほどマーヴィンのふてぶてしい演技が光る好篇。