梅雨の気配を感じつつ、東京は宣言の延長中。というか、更に再延長という噂まで聞こえるけど、どうなんですかね。
だって、緊張感なり切迫感の気配がどうにも薄いんだよな。バスや地下鉄に乗っても、乗客が減っている印象はまったくない。
ならば、不要不急の外出を止めれば良いと仰る方もいるだろうが、自分に関してはそうは行かない。当然、通勤ではなく、昼酒を探してのことで、もっと言えば、『飲酒』難民申請中とでも申しますか。
まあ、延長で困っているのは飲酒だけで、それ以外は何てことない人生ってのもな、とも感じるけど。
でも、去年の宣言下と違うのは、この点。流石に今回は「酒類提供中止」の張り紙を出したり、休業も続出。
それでも先日、ランチ飲酒が可能な数少ない食堂まで歩いて出向いたら、何と臨時休業。
天気も回復傾向で、曇り空から陽が差し込んで来ていた。当然、頭と心の中は大瓶ビールで一杯だったのにな、とため息。
そこは老齢夫婦が営む店なので、病院通いの日は休むと聞いていた。ところが、それがいつといつかなどは知らないから、ある意味、苦手な「賭け」。
それにぶつかった。仕方なく、そこから1キロ先にある店まで歩いた。実に、半年以上振りだ。
その店はビールは出していたが、ツマミ系が一切なく、カレーとラーメンのバリエーションしかない。ワンタンメンの麺抜き、もしくはチャーシューだけ頂戴と言えるかどうかで決まる店。
親父さんが一人で切り盛りするので考えて注文しないと、時間を持て余す。だから、足が遠退いていた。
入店すると、食事とは別の紙に貼ってあるメニューの『ビールと酒』が消えていた。やっぱり、ご時世か。
一応、尋いてみると「ありますよ」という嬉しい返事。ウチは職人しか来ないから、深酒する客はいないし、こんなのが続いて皆、嘆いているしね。
メニューが外され、あきらめたが予想外の返事で、一瞬、胸が詰まった。回復傾向の日差しが、曇りガラスの窓から差し込み、初夏を感じさせる。
所要もあり、そこに辿り着くまで二時間近く歩き続けた挙句のビール。コップに注ぐと泡まで美味そうで、黄金色の本体も、何がしか輝きが増している気もして、口に運んだ。
すると親父さんが「こんなのしかないけど」と小皿にカレー用の福神漬けとラーメン用の支那竹を少量ずつ盛って出してきてくれた。
こっちの心に晴れ間が拡がった。場末の食堂と昼前のビールは、これでなくちゃと本当に泣きそうになった。
でも、これで再延長などになったら、好きな店で飲めないストレスが溜まり、いい加減に誰か暴動でも起こせやと煽りたくもなった。
まあ、昼酒飲ませろとか、せめて自分の好きな店だけは酒の提供のオッケー出してよ、と身勝手発想で他人は煽れないよな。
その騒ぎを見ながら、昼酒飲むのは、乙とは言えねぇし。