スタッフ
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
製作:ピエール・サン・ブランカ
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:ジャン・ジャック・タルベ
音楽:フィリップ・サルド
キャスト
カズヌーヴ / ジャン・ギャバン
ストラブリッジ / アラン・ドロン
ルシー / ミムジー・ファーマー
ゴアトロー警部 / ミッシェル・ブーケ
弁護士 / マルカ・リボウスカ
ソフィー / イラリア・オッキーニ
マルセル / ヴィクトル・ラヌー
フレデリック / ベルナール・ジロドー
小悪党 / ジェラール・ドパルデュー
日本公開: 1974年
製作国: フランス ヴァロリア・フィルム作品
配給: 東和
あらすじとコメント
アラン・ドロン主演作にする。共演は三回目となるフランス映画界の重鎮ジャン・ギャバン。更生しようとする前科者と保護司が辿る悲劇的運命を描いた作品。
フランス、ポントワーズ銀行強盗主犯ストラブリッジ(アラン・ドロン)の仮釈放審理に出席した保護司のカズヌーヴ(ジャン・ギャバン)。訝しがる関係者に対し、カズヌーヴは責任を持つからと仮釈放を要求した。
結果、仮釈放が許可された彼はパリに戻り、愛する妻と再び暮らし始めた。しかし、そんな生活も束の間、暴走車の事故に巻き込まれ妻は死んでしまう。
もぬけの殻状態になった彼を見かねて自分の住む南部モンペリエに来ないかと誘うカズヌーヴ。そこで地道に再出発を始め、恋人ルシー(ミムジー・ファーマー)もできるが・・・
前科者ゆえに色眼鏡で見られる男の運命を描くドラマ。
20歳で銀行強盗を主導し逮捕された主人公。12年の刑を模範囚でもあり10年で仮出所。
若気の至りでもあったと更生を試みる。ところが、放って置かないのが、昔の強盗仲間。
再度組んで強盗をしようとパリから南部の町まで追いかけてくる。しかも、新恋人が銀行員であるのは伏線だろうと勝手に決め込む始末。
更に悪いことに彼を逮捕した警部も転勤してきて、性悪人は根が腐っていると決めつけ、やはりこの地で銀行強盗を企てているに違いないと付き纏ってくる。
監督と脚本は、実際に犯罪で服役経験のあるジョゼ・ジョヴァンニ。更生を考えても、周囲の偏向的先入観がそれを許さないと声高に謳う作品でもある。
ただし、ジャン・ギャバンや革新的思想のギャバンの家族などは主人公の味方。ただ、あまりにも少数であり、無関係な人間たちは多勢な意見に簡単になびいていくとも見せてくる。
性根が弱いから犯罪者になったのかもしれぬ。だから、追い詰めれば再犯に走る『はず』。
確かに、ドロンの演技は改心したのか、「振り」なのか微妙な態度で押してくる。
それが昔の仲間や警部にどう印象付けてしまうのか。
冒頭にギャバンの絶望的独白から始まるので、結末は想像付くだろう。
その中でも特に印象的なのが『フランスには未だ二台のギロチンがある』というもの。
今とは違い、世界中に死刑制度があり、殆どはガスか電気椅子であろうか。そんな時代にギロチンである。
嫌な意味での予定調和に向かうドラマだが、元受刑者への偏向と死刑制度に対する問題提起として印象に残る作品ではある。