スタッフ
監督:ジョルジュ・ロートネル
製作:レイモン・ダノン
脚本:ジョルジュ・ロートネル
撮影:モーリス・フェルー
音楽:フィリップ・サルド
キャスト
リルソン / アラン・ドロン
ペギー / ミレーユ・ダルク
ロラン / クロード・ブラッスール
デニース / フィオーレ・アルトビティ
カルニエ警視 / アンドレ・ファルコン
リルソン夫人 / ニコレッタ・マキャヴェッリ
ステイグ / エミリオ・メッシーナ
アルベール / ミシェール・ペリヨン
地下駐車場の男 / フィリップ・カステッリ
日本公開: 1975年
製作国: フランス リーラ・フィルム作品
配給: 東和
あらすじとコメント
アラン・ドロン主演作に戻る。監督は前回の「渚の果てにこの愛を」(1970)のジョルジュ・ロートネル。共演は監督との名コンビにして、当時ドロンの愛人と言われたミレーユ・ダルク。謎めいた美女の心理スリラー。
フランス、ニース冬の観光地は、ほぼ人がいない閑散とした場所である。海沿いのアパートに住むTVドラマの脚本家ロラン(クロード・ブラッスール)は作劇に行き詰っていた。
気分転換に外にでると美女ペギー(ミレーユ・ダルク)がたった独りで、寒風にさらされながら砂浜を歩いていた。なぜ、こんな時期にこの場所で、と不思議に思ったロランは脚本のアイディアになるのではないかと軽い気持ちで声を掛けた。少し困惑したような風情のペギー。
何ともそそるタイプで、笑い話などをして何とか連絡先を聞きだそうとするが、適当にかわすと車に乗って走り去ってしまった。
その後、街なかで彼女の車が駐車してあるのを見つけ、勝手に助手席に乗り込んで彼女の戻りを待つと・・・
謎めいた女性と周囲の男たちが繰り広げるスリラー。
バツイチという女性に一目惚れしてしつこく食い下がる放送作家。
だが、車に尾けられていると知るや、突然、山道を猛スピードで走ったり、不意に情緒不安定になり、彼に対し冷たくあしらったり、逆に優しく接したりする。
謎めいているというか、精神的に病んでいるようにも見える。
そこにドロン演じる彼女の財産を管理する辣腕弁護士が登場してくる。
そのドロンの運転手や、彼とヒロインの中を疑う弁護士夫人、嫌味な弟、ヒロインの邸宅に住む下僕など、何ともいびつな人間が登場してきて、やがて死者がでる展開。
果たしてヒロインは悪女なのか、悲劇のヒロインなのかという謎解きになるかと思いきや、軽薄さを感じさせる放送作家がどこまでもヒロインをかばおうとしたり、ドロン演じる弁護士とヒロインの関係性など、なぜ、男たちの多くがそこまでヒロインに入れ込むのかと些か興ざめした。
やはり、ヒロインのミレーユ・ダルクのミスキャストの所為だとも感じる。ロートネル作品では、少し頭が足りない系だがセクシーとか、キュートさが持ち味の女優だと思っていた。
笑顔をほとんど浮かべず、謎めいて男たちが勝手に篭絡されていく魅力を醸そうとして静かなる熱演だが、彼女らしさが逆に消された気もする。ドロンも辣腕弁護士には見えないのも興を削がれた。
ある意味、予定調和の作品でありロートネル監督の手慣れた手腕で、見ていけるスリラー作。