パンドラ – PANDORA AND THE FLYING DUTCHMAN(1950年)

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スタッフ
監督:アルバート・リューイン
製作:ジョセフ・カウフマン、A・リューイン
脚本:アルバート・リューイン
撮影:ジャック・カーディフ
音楽:アラン・ローソン

キャスト
ヴァン・ダ・ゼ / ジェームス・メイソン
パンドラ / エヴァ・ガードナー
キャメロン / ナイジェル・パトリック
フィールディング / ハロルド・ウォーレンダー
ジャネット / シーラ・シム
モンタルヴォ / マリオ・キャブレ
ディマレスト / マリウス・ゴーリング
ジェニー / パメラ・ケリーノ
ペギー / パトリシア・レイン

日本公開: 1951年
製作国: アメリカ ドロケイ・プロ作品
配給: NCC、BCFC


あらすじとコメント

前回の「あの胸にもういちど」〈1968〉の監督ジャック・カーディフ。本来は撮影監督であり、独特な明暗を強調するタイプ。その彼らしさを感じさせるミステリアス・ファンタジーにする。

スペイン、港町エスペランサ世界最高速を目指すカーレーサーと恋仲の絶世の美女パンドラ(エヴァ・ガードナー)。友人らとパーティーをしていると彼女の冷たさに絶望した青年が酔ってやって来て、未練タラタラに文句を言った挙句にショック死してしまう。騒然とする中、彼女だけは平然と冷たい視線をおくるだけ。

そんな彼女だったが、ある日、沖に停泊している一艘のヨットを発見し、奇妙な胸騒ぎを覚える。巷のうわさでは所有者は「さまよえるオランダ人」で、7年ごとに姿を現すと笑っていたが・・・

二つの有名な話をミックスしたミステリー風ファンタジー。

神ゼウスが、男性のみが存在した地球に、初めてパンドラという女性を降臨させるが、彼女に悪や災いを封じ込めた箱を持たせ、絶対に開けてはならぬと命じた「パンドラの箱」と呼ばれるギリシャ神話がある。

そしてワーグナーの作曲で有名な、神罰によって現世とあの世を彷徨う幽霊船の話である「さまよえるオランダ人」。

この二つの物語のそれぞれの主人公である男女が人間的恋愛感情よりも、『人間』としての尊厳や奔放さで周囲を席巻していく作品。

彼女の眼前で自殺する青年から、レーサー、有名闘牛士、そしてミステリアスなオランダ人船長を次々と翻弄していくヒロイン。だが、船長以外は、上昇志向型で征服欲が強い男性ばかりだ。

男どもの欲望を知りつつ、平然とかわし、付かず離れずするタイプ。そこに孤高なオランダ人船長が絡み、二人して奇妙な感情で揺れ動いていくのがメインの恋愛ドラマでもあるのだが、『神』という存在が圧倒的な強さを持ち、その影響下で『人間』が蠢いていくというかなり宗教的な側面を併せ持つ。

ギリシャ神話の「パンドラの箱」と「さまよえるオランダ人」の内容を知らないと、エゴイスティックで意味不明な人間たちの「痴情のもつれ」的ドロドロした昔の昼メロと同じ。

男性優位の価値観ゆえに、男たちが自滅していくのはしようがないとも感じるし、思わせ振りな態度で男たちを自滅させていくヒロインにも感情移入が難しかった。

謎解きをする狂言回し的役柄の文学者の凛々しさが緩衝材となっているが、結果が先に解る倒叙式の進行だし、逆に最後はSFかよと日本人には些か混乱が生じるかもしれない。

ただ、ジャック・カーディフのカメラは美しい。

余談雑談 2021年7月31日
妙なところは頑固な自分。スポーツはしないし、見ないを信条にして数十年。 であるので現在はTV放送に翻弄されている。流石の自国開催だからか、多くのチャンネルで生放送中。意地でも見ないぞと息巻く自分は困惑しきりでもある。 しかも、一年半も続く疫