一体、自分とは何ぞや、と。40年近く前、何が原因か解らぬが、突如、股を開くと激痛が走るように。
困っている自分を見かね、知人が柔道整体系マッサージ的なものを受けてみたら、と紹介してくれた。
恐る恐る行ってみると指圧系や骨盤矯正など、一時間程の施術が待っていた。ツボ押しは痛いし、骨のボキバキ音で骨折しないのかと驚いた。ところが、あら不思議。
一発で治ったのだ。尋くと、事前に話すと身体が委縮し、あらぬ方に行く可能性があったから黙っていたが、股関節を一度外して入れ直したんですよ、だと。
そんなことは可能なのかよと、俄かには信じられなかった。要は、少し骨がずれていたので、脚を開くときだけ直接神経に骨が触れて激痛が走るのだ、と。だから、正しい位置に入れ直したので、今後こういう態勢はするなとか、何点か日常生活での指示を受けた。
以後、事あるごとに通っている。何年か経って、そこに勤めていた助手の女性と結婚し、現在も夫婦で営んでいる。
その奥さんの治療には、途中から「気功」が加わるようになった。触るだけで、一部がビリビリする感覚になる。何かのマジックかとも思うのだが、効き目はあるんだろう。
さて、先立て季節の変わり目でもあり、整体に出向いた。一通りの施術が終わり、最後はその奥さんの気功だった。こちらが胡坐をかいて坐り、後ろから、頭を両手で軽く押さえてる。
しばし経過したころ、驚きの言葉が発せられた。「信じられない。本当にストレスが一切ないんですね。だって全くビリビリ系が来ないわよ」だと。
要は、真面目にあれやこれやと考えて、無理してバランスを取り、嫌われたり、波風立てないように生きてないって証左かよ。
そしたら、その通りです、って。マジかよ。で、更に追い打ち。「だからこのところ、内科の先生に、成人病の数値が絶好調ですね、と言われるんでしょうね。だって、いませんよ、これだけストレスない大人は」。
あきれ声に聞こえたんだけど、ホメてるんだよね。「でも、羨ましい。ストレスがないと長生きしますから」。ねえ、どっちなの。
少なくとも自分ではランチ時のビールが激減し、健康には良いが、ストレスは増しているはずと思ってたんですが。
ふと連想。世の中、何も考えずに場当たり的に生き、悪いのは全部他人の所為で、自分は弱者だから優しくしてねという奴は、自分と同じでストレスフリーってことでしょうか。そんなんじゃ、長生きする人が続出じゃねェかよ。
成程、それで人生100年時代か。でもな、自分はもう少し、真面目に思考して生きてるつもりだったのに。
本当に自分とは何ぞや、と思うが、そんなこと真面目に考えてストレス溜めたくないよな。
あれ、