哀愁 – WATERLOO BRIDGE(1940年)

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スタッフ
監督:マーヴィン・ルロイ
製作:シドニー・フランクリン、M・ルロイ
脚本:S・N・バーマン、H・ラモウ、G・フローシェル
撮影:ジョセフ・ルッテンバーグ
音楽:ハーバート・ストサート

キャスト
マイラ / ヴィヴィアン・リー
クローニン / ロバート・テイラー
キティ / ヴァージニア・フィールド
マーガレット / ルシル・ワトソン
マダム・キーロウ / マリア・オースペンスカヤ
モウリーン / ジャネット・ショウ
公爵 / C・オーブリィ・スミス
リディア / ステフィ・デューナ
エルザ / ジャネット・ウォルド

日本公開: 1949年
製作国: M・ルロイ・プロ作品
配給: MGM セントラル


あらすじとコメント

前回の「心の旅路」(1942)と同じく、マーヴィン・ルロイ監督作品にして、ロンドンが舞台で二枚目将校が登場する大甘メロドラマの有名作。

イギリス、ロンドン第一次大戦下のある晩、ウオータールー橋を渡っていた英軍将校クローニン(ロバート・テイラー)は、突如鳴り響いた空襲警報を聞いた。しかし、周囲の市民たちは、瞬時には理解できずにいた。何故なら、これがロンドンで初めての警報であったからだ。

するとクローニンは近くにいた若い踊り子グループに声を掛け、すぐにここは標的になるから防空壕へ避難せよと伝えた。その中にバレリーナのマイラ(ヴィヴィアン・リー)もいて、逃げだそうとしたらバッグが壊れ、中のものが散乱してしまった。

彼は、彼女を助けると防空壕へ向かった。そして地下の電灯下で見たマイラに一目惚れしてしまう。避難者がひしめく中、彼は更にマイラのことを尋きたいと質問攻めにするが、警報が解除されてしまう。

その後マイラは、公演を行うために劇場に向かうが、何とクローニンも上官との夕食をキャンセルし、劇場に駆け付けてきて・・・

戦時下で知り合った男女の熱情と悲劇を描くロマンス作。

映画は冒頭、第二次大戦が勃発した1939年9月のウオータールー橋から始まる。そこに佇むのは歳を取った主人公たったひとり。

つまり、本作は悲劇的結末を迎えると示唆する倒叙式で描かれる進行である。

空襲の夜に運命的な出会いをする二人。男は積極的で直情型。これは運命であり、この相手と結婚すると勝手に決め、猛アタックしていく。

一方のヒロインは、恋の経験もない夢みる乙女タイプで美男からのアタックに舞い上がってしまう。

しかし、そうは単純に事は進まず、鬼と呼ばれるバレエ団の団長、ヒロインの恋に肩入れする同僚などが登場し、明日には別々な方角へ向かうはずが、予定が変更になり、また再会したりと紆余曲折が続いて行く進行。

つまり、「すれ違い」と「思い込み」による微妙な温度差が横たわり続け、ヒロインは常に少しでも会えないと、これぞ『今生の別れ』てな発言をするので、いかにも悲劇へと突っ走って行くと想定させる。

そしてその通りの進行が立て続けに起きて、優しい人間も登場してくるが、それが却って二人の首を絞めて行く展開でもある。

最初のデートで、日本では「蛍の光」として有名な「別れのワルツ」が流れる中で、ダンス中にロウソクが順番に消えて行く演出など、キザったらしくて、当時の観客は夢見心地だったに違いない。

ただ、あくまでも『二枚目』で押し通すロバート・テイラーの演技は、いかにも大味なのが残念。

一方で、ヒロイン役ヴィヴィアン・リーのバレリーナ時代と職変した後の顔付きの違いは鳥肌が立つほど見事。

要は、個人的には主役二人の演技の幅の違いが露骨過ぎて興醒めした。

それでも、典型的大甘メロドラマとして、敗戦後の日本人のハートを鷲掴みにしたのだろうと容易に想像できる作品。

余談雑談 2021年9月11日
俳優の訃報。ジャン・ポール・ベルモンドである。一時期、フランス人俳優としてはアラン・ドロンと人気を二分していたことがある。 ドロンはいかにもの「二枚目」で若い女性たちに絶大な人気があった。個人的には妬みが最優先だが、『怪しげな』とか『胡散臭