砲艦サンパブロ – THE SAND PEBBLES(1966年)

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スタッフ
監督:ロバート・ワイズ
製作:ロバート・ワイズ
脚本:ロバート・アンダーソン、R・ワイズ
撮影:ジョセフ・マクドナルド
音楽:ジェリー・ゴールドスミス

キャスト
ホールマン / スティーヴ・マックィーン
シャーリー / キャンディス・バーゲン
コリンズ艦長 / リチャード・クレンナ
バーゴイン / リチャード・アッテンボロー
ボーハン / 岩松信
メイリー / マラヤット・アンドリアン
ストゥスキー / サイモン・オークランド
ジェームソン / ラリー・ゲイツ
ボーデルス / チャールス・ロビンソン

日本公開: 1967年
製作国: アメリカ ロバート・ワイズ・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

今回も20世紀前半の中国内乱における外国人を描く作品にした。複雑な視点を感じるロバート・ワイズ監督による骨太な人間ドラマ巨編。

中国、上海1926年、中国の内乱に乗じて様々な西洋人が交錯する中、アメリカから派遣されている砲艦サンパブロ号が任務に就いていた。しかし、それは名ばかりのオンボロ船で、乗組員たちの意気も下がり放しの状況でもあった。

そこに新たに転属してきたホールマン(スティーヴ・マックィーン)。彼は上海に上陸すると宣教師と、その娘シャーリー(キャンディス・バーゲン)と知り合った。沿岸警備と人命、財産保護の名目で西洋の列強国から派遣されているのだが、各国それぞれの思惑もあり、それを察した中国人たちによる外国人排斥運動も激化していた。ただし、それは自分には関係ないことであり、あくまで命令に従うのが軍人だと私見を述べないホールマン。

しかし、それは彼特有の『逃げ』であり、実は、かなり個性的な性格だった・・・

様々な不安材料が交錯し、やがて劇的進行を見せる力作。

内乱状態のアジアの国を完全に卑下し、西洋列強国の論理で押さえつけようとする。一方、同じ西洋人ながら宣教師は、異なる価値観で命懸けの布教活動を続けている。

冒頭から、西洋列強内の政治経済関係での立場的対比が描かれる。しかし、他に『軍人』という価値観が登場してきて、それぞれが大人の対応をしつつも、絶対に相容れないであろうなと見せつけてくる。

結果、西洋と東洋の人間としての主従関係は変わらないが、どこかで民族的に卑下する対象の中国人たちとの間に信頼関係が生まれる者もいる。しかし、それらが時代という大きなうねりにより、誰もが悲劇に向って行く内容。

主役のマックィーンは侮蔑していた若い中国人と、女教師は中国の学生と。そして別な乗組員は、売春窟の薄幸な中国娘と。

他にも、何も西洋の列強実業家と宣教師に限らず、同じ国民でも中国の内乱がそれであるように、対立が激化していく。そこに人間の脆弱さと驕りが横たわる。

誰もが息苦しい状況に追い込まれ、抜けだせそうにない絶望感の中で、生きようとする。仲間もいれば、裏切りもあり、当然、報復もある。

どこを見回しても、明るい要素が全くない作品でもある。

実に3時間を超える超大作で、何らブレずに一本筋の通ったロバート・ワイズ演出はシャープさが際立ち、見事だ。

つまり、飽きないのだ。キャストもそれぞれの立場を理解した上で演じているので、混乱も生じず、マックィーンも抑えた演技で、渋みさへ醸している。

実際に中国本土でロケができないので、些か無理もあるが、それでも悠久の大地を何とか描こうとしている点も評価できよう。

1926年のこの時、アメリカが何をし、結果、何が出来なかったのか。

様々な人間ドラマの複合から、中盤以降は、どうにもヴェトナム戦争でのアメリカのスタンスを強烈に感じる内容になる。

「強大」と「ぞんざい」。強がっていても脆弱。誰にも独自の正義、正論があるが、どれも正解であり、別視点では敵になる。

どこにも抜け道がないから、破滅へと突き進むしかないのか。しかし、それは何もヒロイズム的軍人だけではないとも教えてくれるパワフルなドラマ。

余談雑談 2021年10月30日
解放感に満ちた初冬。待ち焦がれ過ぎて、深夜までの飲酒自由が、逆に虚しさを感じさせもするのは何故に。 さて、旅の続き。メニューがイメージと違った居酒屋ではなく、馬肉焼き肉屋にした会津若松初めての夜。 不便な立地ながら、そこが大正解。住宅地の一