スタッフ
監督:ウィリアム・A・ウェルマン
製作:ロバート・フェローズ
脚本:A・S・フライシュマン
撮影:ウィリアム・H・クローセア
音楽:ロイ・ウェッブ
キャスト
ワイルダー / ジョン・ウェイン
キャシー / ローレン・バコール
ツォー / ポール・フィックス
スウスウ / ジョイ・キム
フェン老人 / ベリー・クローガー
ビッグ・ハン / マイク・マズルギ
ウェイ / アニタ・エクバーグ
タック / ヘンリー・中村
シング / ジョージ・チャン
日本公開: 1956年
製作国: アメリカ バトジャック・プロ作品
配給: ワーナー
あらすじとコメント
今回も共産党支配下の中国が舞台で、攻撃を受ける艦船の話。ただし、軍艦ではなくオンボロ船。そんな船で脱出を図る民間人を描くアクション・ドラマ。
中国、福建省中国共産党指導下、留置所に抑留されていたアメリカ人ワイルダー(ジョン・ウェイン)。彼は中国船の船長であったが、現在は敵国人とみなされてのことだ。
突如、何者かの手引きにより、無事脱出に成功。だが、そのままとある海辺の村に連行されてしまう。今度は何だ、と思っていると手引きをしたのが、村の重鎮三名だと知る。また、その村にはアメリカ人女性で父親が開業医をしていたキャシー(ローレン・バコール)もいた。彼女の父も敵国人として拉致され、連行されている。
そこで重鎮らから自分を脱出させた目的を尋くワイルダー。彼らは共産党統治に納得できず、村民180名全員でオンボロ蒸気船を乗っ取り、480キロ先の香港まで脱出させて欲しいと。
驚くワイルダー。何故なら香港へ向かうには『血の水道』と呼ばれる難所の連続である水路を辿って行かなければならないからだ。だからこそ自分を呼んだのだと。
思い悩んでいると彼の来村を喜ばない共産党支持者の長老に通報され、軍の部隊がやってくる。身を隠すワイルダーだったが、キャシーに手をだそうとした兵士を殺してしまい・・・
中国難民を脱出させる苦行を描く娯楽アクション編。
共産党政府に耐え切れず集団脱出を試みる田舎の村。
村民たちも事前から淡々と準備をして協力するし、頼りがいのある主人公を尊敬する。ところが、ヒロインは少々、斜に構えたタイプ。
村民協力のもと、何とか蒸気船を分捕り、全村民を素早く乗船させるが、以降は艱難辛苦の連続という展開に主人公たちの恋の行方も絡んでくる。
王道のアクション設定だ。それをバリバリの愛国者であるジョン・ウェイン主演で、西部劇ならぬ現代劇として製作された作品。すぐに反共の旗を高々と掲げた映画だと推察は出来ようか。
そこにもってきて監督は1929年の第一回アカデミー作品賞を受賞した「つばさ」の重鎮ウィリアム・A・ウェルマン。
サイレント時代から活躍する監督だが、盛りは過ぎているのも歴然。
要は、2時間弱の作品ながら舞台が中国なだけにか、実に鷹揚で悠久の時が流れるかのような進行。
つまり、まどろこっしいとか、かったるいのだ。編集も然りだし、原作者が脚本を兼ねているのも然り。
説明的前半部から、脱出行に至るまで、どのエピソードも少しづつ長いので、リズム感がノンビリ過ぎ。
ラストの敵軍艦による砲撃のアクション場面は、良く出来ているだけに、何とも残念。
それでも、嵐の中の操舵室でのアクションは、完全に無声にしたり、着弾も人間ギリギリと迫力アップも感じさせてくれるメリハリもある。
それらを鑑みても、どうにもブツ切り感の方が勝る。20分ほど切ったら、もっと面白いアクション作になっただろうに。