スタッフ
監督:エドガー・ライト
製作:ティム・ビーヴァン、E・フェルナー、N・パーク
脚本:E・ライト、サイモン・ペッグ
撮影:ジェス・ホール
音楽:デヴィッド・アーノルド
キャスト
エンジェル / サイモン・ペッグ
バターマン / ニック・フロスト
フランク / ジム・ブロードベント
ウェインライト / パディ・コンシダイン
スキナー / ティモシー・ダルトン
ジョイス / ビリー・ホワイトロー
警視 / ビル・ナイ
ターナー / ビル・ベイリー
ウィーヴァー / エドワード・ウッドワード
日本公開: 2008年
製作国: 英、仏 ワーキング・タイトル・プロ作品
配給: ギャガ
あらすじとコメント
前回の「フレンジー」(1972)で、主人公を犯人扱いする人妻を演じたイギリスの女優ビリー・ホワイトロー。彼女が出たシニカルで、ヒッチコックの影響も感じさせる、いかにもイギリスらしいブラックな喜劇をチョイスしてみた。
イギリス、ロンドンシティの警察で他の追従を許さぬほどのエリート警官エンジェル(サイモン・ペッグ)は、上司や同僚らの妬みからド田舎に転勤させられてしまう。せめて恋人には付いてきて欲しいと告げに行くが、いとも簡単に捨てられた。
自分の人気のなさに閉口しつつも、次なる勤務地サンドフォードに、電車やバスを乗り継いでやっと着任。そこは古くからの住人がのどかに暮らす場所で、早速署長からは暇を持て余すだろうと言われる。しかし、細かいところに目が行く彼は軽犯罪ばかりだが、当日から暴走気味に取り締まる始末。夜はパブで泥酔し、車を運転して帰ろうとしたバターマン(ニック・フロスト)を留置所にぶち込んだ。
ところが、翌朝、牢屋には誰もおらず、驚いていると警官姿のバターマンが立っていた。しかも署長の息子だと言って・・・
田舎の排他的かつ古い風習に固執する住民と新参者を描くコメディ。
真面目過ぎて超優秀にも関わらず左遷された主人公。しかし、正義の味方の彼は、何処であろうと自分の、というか、法律厳守の精神で田舎町を席巻していく。
ところが謎の事件が続発し、殺人を事故に偽装した懸念があると直感するが、そこは田舎で殺人事件とは無縁だと信じ込んでいる村民ばかり。
ただし、いわゆる昔ながらの老齢者グループは「近隣監視同盟」なる組織を作り、監視カメラや情報共有で街の治安の一翼を担っているという。そこには医師、牧師、パブの経営者夫婦など多岐に渡る実力派メンバーが揃う。
それでも、主人公は間違いなくおかしいと独自調査を進めると、あらぬ方向へ転がりだす展開。
それを何ともシャープな編集とカット割りで紡ぎ、且つ突如グロテスクなホラー映画的殺人場面が登場してくる。
いったい、笑っていいのか、怖がって良いのか不思議な感覚に放り込まれる。
それこそヒッチコックの悪趣味で下品な部分を受け継ぐ手法に、モダンな画像処理を施してくる。
アメリカ映画の刑事ドラマにオマージュを捧げ、というか、影響を受けてと表して、それを歴史あるイギリス人がアメリカをバカにする寸法でもある。
何よりも、やるときは徹底してやるという作風の何ともシニカルで、イヤミとエッジの効いたコメディ作。