スタッフ
監督:クリフ・オーウェン
製作:オーブリー・ベアリング
脚本:J・ウォーレン、レン・ヒ
ューズ、J・アントロバス 他
撮影:アーネスト・スチュワート
音楽:リチャード・ロドニー・ベネット
キャスト
ゲイツ / ピーター・セラーズ
パーカー警部 / ライオネル・ジェフリーズ
ヴァレリー / ナネット・ニューマン
オトゥール / バーナード・クリビンス
コーンブス / ビル・カー
トレイナー・キング / ディヴィ・ケイ
メイ / エド・デヴェロー
デントン / レッグ・ライ
警官 / マイケル・ケイン
日本公開: 1964年
製作国: イギリス ロバート・ヴェレース・プロ作品
配給: 大映
あらすじとコメント
ピーター・セラーズのコメディで今回は劇場公開作。発想自体はブラックなのだが、進行は至極真っ当という、何とも妙な心持ちにさせられる喜劇。
イギリス、ロンドンプロのコソ泥だちが次々に犯行成功後、三人組の警官に戦利品をくすねられる事態が続発した。どうして自分たちの犯行が事前に漏れているのか不思議に感じながら、とあるグループのボスで平素は洋装店を営むゲイツ(ピーター・セラーズ)が、他グループの泥棒や詐欺師らを招集した。
このままではプロとして名折れであり、由々しき問題であると。しかし名案は浮かばず、それぞれが勝手に犯行を繰り返すが今度は大きなヤマだけが狙われれ、結局、失敗の連続。
一方で、パーカー警部(ライオネル・ジェフリーズ)が、逮捕したコソ泥から警察に横取りされたと言い訳され閉口。このままでは泥棒たちも警察もお互いにメンツが立たなくて・・・
どうにもマヌケな連中ばかりで繰り広げるコメディ。
外国から来た知能犯的グループがロンドンの泥棒たちに喧嘩を売る。当然、警察側もメンツを潰される羽目になっている。
そこで、前代未聞の泥棒と警察が手を組んで外国犯罪者グループ排除に乗りだすという内容。
ロンドン側に密通者がいるのは明白であり誰が内通者かは、すぐに観客側には教えてくれる。
そこからしてマヌケなのだが、主演のセラーズはコメディ要素をほぼ含まない真面目な感じで押してくる。つまりは『やり過ぎ感』がない。その一方で、大袈裟で一番のマヌケ役は警部殿。それを演じるライオネル・ジェフリーズが実に妙味があり、全てを掻っ攫う印象。
内容も始めの方では、仲間たちが失敗するので勉強として犯罪映画を勧める主人公なのだが、それがジュールス・ダッシンのフランス犯罪映画の佳作「男の争い」(1955)と、個人的に大好きなブラック系イギリス犯罪映画「紳士同盟」(1960)だったりするから爆笑してしまった。何せ、両方とも犯罪に失敗する映画なのだから。
そういう小ネタばかりが目立つのが難点ではある。しかも、大袈裟に笑わせようとする作劇でなく、いかにも低予算のイギリス映画らしい地味な喜劇としての進行。
やはりセラーズ主演で「泥棒株式会社」(1960)の続編のような売り方であるが、主演のセラーズと警部役のジェフリーズが共演しているだけで関連性はまったくない。
ロードショウではなく、2本立てで観るのに丁度良い作品てな印象。