スタッフ
監督:ゾルタン・コルダ、テレンス・ヤング
製作:ゾルタン・コルダ
脚本:R・C・シャリフ、ラホス・ビロ、A・ウィンペリス
撮影:テッド・スケイフ、他
音楽:ベンジャミン・フランケル
キャスト
ファヴァシャム / アンソニー・スティール
ダランス中尉 / ローレンス・ハーヴェイ
メアリー / メアリー・ユーア
バロウズ将軍 / ジェームス・ロバートソン・ジャスティス
バロウズ / ローランド・ルイス
ウィロビィ / イアン・カーマイケル
サットン医師 / ジェフリー・キーン
大佐 / ジャック・ランバート
ファヴァシャム将軍 / マイケル・ボーダーン
日本公開: 1956年
製作国: イギリス ゾルタン・コルダ・プロ作品
配給: 東和
あらすじとコメント
19世紀後半の大英帝国植民地下のアフリカを舞台にした活劇で繋げる。卑怯者の烙印を押された青年の冒険譚を描くアクション編。
イギリス、サリー1885年、大英帝国統制下のエジプトでイスラム教徒たちが蜂起した。ただちに英国政府は軍の派遣を検討。
しかし、異国への干渉だと考える青年ファヴァシャム(アンソニー・スティール)。彼は誇り高い軍人一家の息子で将校でもあり、中隊長ダランス(ローレンス・ハーヴェイ)ら三人の親友もいるが全員がエジプト支配下のスーダンへの派遣に賛成。当然、妙な不協和音が漂い始める。
続いて彼は、中隊長ダランスが恋心を抱いていたメアリー(メアリー・ユーア)と結婚を決めた。その直後、派兵が決定される。仲間や家族たちが武運長久を祈る中、何とファヴァシャムは出発二日前に退官届を提出してしまう。自分の信条に対し、素直に決断し行動したのだ。
ところが仲間三人と新妻メアリーから侮蔑と絶縁の意味を込めた白い羽根を送られてしまい・・・
臆病者の汚名を着せられた男の活躍を描く冒険譚。
戦争から逃げ、親友たちや妻からも軽蔑された青年。
そんな彼が自分の誇りと威厳を賭けて窮地にいる仲間たちを救おうとアフリカを駆け巡り獅子奮迅していく大冒険物語。
イギリスの作家A・E・W・メイソンによる有名な冒険小説で、本作以前に「四枚の羽根」(1929、1939)に続く三度目の映画化作品であり、以後も「サハラに舞う羽根」(2002)として四回も映画化されている。
スケール感のある戦闘場面が続き、友人三人それぞれが別な絶体絶命の窮地に陥っていく。
それを知った主人公が、絶交宣言の羽根を一人一枚づつ生きているうちに返そうと決意する。自分の意思決定は臆病から来るものではなく決して間違ってはいないと信じ、それこそが汚名返上になると。
わざとエジプト人奴隷の烙印を額に押させ、且つ聾唖者として敵陣に潜入していく。そうすれば言語を話せない問題は解決するからと。
しかも、友人らには一切名乗らず、ポケットなどに羽根を忍ばせ、後々に自分であったと理解させるスタイル。
成程、声高にヒーローと謳う姿でなく、どこか「引いた美学」は男が好きな設定であろう。
原作が良く出来ているからであろうが、1939年製の前作も然りだが、本作もスリルとサスペンスに満ちた王道のイギリス製冒険活劇として映画化されている。
その一翼は前作と同じゾルタン・コルダがメガホンを取り、後に初期の「007」シリーズ三作や「暗くなるまで待って」(1967)を監督するテレンス・ヤングのダブル監督だからでもあろう。
砂漠の恐怖やら、気高さゆえの敗走。イギリスの「騎士道精神」を分かりやすく提示してくれて、且つ深く考えずに素直に観て行ける娯楽作として及第点の作品。