スタッフ
監督:サイ・レイカー・エンドフィールド
製作:S・ベンジャミン・フィッツ
脚本:ジョン・クルーズ、サイ・R・エンドフィールド
撮影:ジェフリー・アンスワース
音楽:ビューバート・クリフォード
キャスト
イェーツリー / スタンリー・ベイカー
ロッシ / ハーバート・ロム
ルシー / ペギー・カミングス
フォアマン / パトリック・マッグーハン
ジル / ジル・アイアランド
スコッティ / ゴードン・ジャクソン
ジミー / デヴィッド・マッカラム
カートリィ / ウィリアム・ハートネル
ケイツ / ショーン・コネリー
日本公開: 1958年
製作国: イギリス アーサー・ランク作品
配給: 東和
あらすじとコメント
「海底世界一周」(1965)に科学者役で出演していたデヴィッド・マッカラム。映画化もされたTVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」の相棒役が有名だろう。その彼がデビューしたての時期の作品でどこか弱々しい青年を演じたB級アクション。
イギリス、ミドルセックス『ホーレッツ運輸』という会社に、ひとりの男がやって来た。名はイェーツリー(スタンリー・ベイカー)。応対にでたルシー(ペギー・カミングス)に、トラック運転手を募集してると聞いたんだが、と切り出した。
彼女は支社長に引き合わせた。ウチは過酷だと言われるが、承知の上だと。では、腕前を試すと実際の砂利採石場と会社の往復を運転させられる。思いの外、整備が行き届いてないトラックを猛スピードで飛ばさないといけない上、完全出来高制で、整備や事故補償も自腹。ゆえに事故が絶えないと聞かされる。そんな中での成績トップは一日に18往復もするらしい。
俄かには信じ難いが実際に走ってみると対向車線から猛スピードでやってくるトラックがあった。ドライバーの彼こそ、トップのフォアマン(パトリック・マッグーハン)だった・・・
何ともいえぬB級ティスト溢れる異色のアクション作。
片田舎の運送会社にふらりとやって来る風来坊。どうしても運転の仕事が欲しいと頼む相手はグラマラスでセクシーな女性。そんな彼女も初対面のワイルドな男に、目付きが変わる。
だが、その男は社会保険など証明書は運転免許書以外に所持しておらず完全に何やら過去がありそうな風情。
いかにもB級っぽい設定で幕を上げる。しかし、本作はその先の設定が面白い。トラック・アクションという展開ゆえだ。
どちらかというと、それまでトラックは、主人公などが乗る乗用車を襲う脇役という使用法が圧倒的であった。
しかし、それを本作ではトラック同士によるカー・チェイスがメインであり、そこに友情や恋愛が絡むというストーリィ。
大雑把な演出や、力技的カット繋ぎが連続するが、逆に、どこか無骨なイメージで重量感のある「トラック」に似合っていると感じた。
とはいっても、スピルバーグの「激突!」(1971)やサム・ペキンパーの「コンボイ」(1978)のような超大型トレーラーの威圧感と重厚感まではない。
そこが、どうにも往年のイギリスのB級感が漂う。
ストーリィ自体端折り過ぎで辻褄が合わなかったり、急激な変調で理解しがたい場面があったりと、何故だ、どうしてこの展開にと、頭が混乱して、疑問符が一向に消えぬまま、当然のように進んでいく。
出演もB級アクションの雄スタンリー・ベイカーだし、いつもは悪役が多いハーバート・ロムが、妙なアクセントの英語ならぬイタリア語を話すし、ライバル役は、知的な印象の強いパトリック・マッグーハンが無骨男。
他に本作後にまさか初代ジェームス・ボンドに抜擢されるとは本人も思ってもいなかったであろうし、その片鱗も感じさせないショーン・コネリーやら、ご贔屓脇役の一人で「大脱走」(1963)で、バス乗車時に虚を衝かれ「サンキュー」と言って脱走兵だとバレる役のゴードン・ジャクソン、TVシリーズ「0011ナポレオン・ソロ」の相棒役デヴィッド・マッカラムなどが出演して映画を盛上げている。
なので、個人的には妙に後ろ髪引かれる好きな作品である。ただし、一般受けには程遠い。