ボーン・アルティメイタム – THE BOURNE ULTIMATUM(2007年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:ポール・グリーングラス
製作:フランク・マーシャル、P・クローリー 他
脚本:トニー・ギルロイ
撮影:オリヴァー・ウッド
音楽:ジョン・パウエル

キャスト
ボーン / マット・デイモン
ニッキー / ジュリア・スタイルズ
ヴォーゼン / デヴィッド・ストラザーン
クレイマー / スコット・グレン
パズ / エドガー・ラミレス
ロス / パデイ・コンシダイン
ハーシュ / アルバート・フィニー
デッシュ / ジョーイ・アンサー
ダニエルズ / コリン・スティントン

日本公開: 2007年
製作国: アメリカ MBベータ・プロ作品
配給: 東宝東和


あらすじとコメント

前回の「殺しのエージェント」(1966)の原題でもある『清掃人』。汚れ仕事や殺人を遂行するプロのことだが、そのプロが印象的に登場してくる、実に良く出来たスパイ系活劇にする。

イギリス、ロンドン元CIAの凄腕エージェントのボーン(マット・ディモン)は、インドで恋人を殺されながらも自分だけは生き延びていた。

記憶喪失ながら殺人のプロとして数々の修羅場を潜り抜けてきた自分が、一体何者であるのかを探し求めている最中、ロンドンの新聞に自分とCIA の関連性が書かれた記事を見つけ記者に接触しようと密かにやって来た。

一方、CIAも作戦本部のヴォーゼン局長(デヴィッド・ストラザーン)指揮の下、最重要国家機密を守るため、ボーン殺害を計画していた。だが、ボーン発見の報に、以前彼に裏をかかれたパメラ(ジョアン・アレン)も高圧的な態度で作戦に参加してきて・・・

自分探しをする無敵のエージェントの行動を描く佳作。

『殺人兵器』として非情な訓練を受け、過去も棄て、数々のミッションを完璧にこなしてきた主人公。

そんな彼が疑問を持ち、自分探しをするシリーズの3作目。

CIAが国外で秘密裏に殺人を遂行するエリートを養成していた事実は国家機密。しかも主人公は養成第1号にして最高傑作。

つまり、どんな敵が来ても即座に対応し、必要とあらば躊躇なく殺害する。しかも武器は周囲にあるものでだ。

そんな主人公が、一体何者であるのかが判明する、一応の完結編。

本シリーズは第2作である前作「ボーン・スプレマシー」(2004)から監督として参加したポール・グリーングラスの息も付かせぬ見事な進行によって、1作目からの流れを変え、息詰まる展開を見せる佳作シリーズとして確立されたと感じる。

ある意味で、それまでのアクション映画の流れを一気に変えた印象が強い。

固定カメラは使用せず、肩に背負うカメラから、ハンディカムで常に臨場感と緊張感を持続させる展開と緩急の付いた編集は見事。

手持ちカメラゆえに微妙に揺れて安定感のない画面に、何台のカメラで撮影したのかと思わせる短い繋ぎで息付く暇さえ与えない。

特に本作はその異常ともいえる変幻自在的カメラ・ワークを連続させ、ふとした拍子に一瞬の『静』の場面を挿入するが、すぐに『動』に転換すると予感させ、果たしてその通りになる。

それでいて、少し面倒臭い内容も印象的に理解させてくる。

CIAの内部抗争や海外でのハッキングに監視カメラや盗聴活動。その上、海外でのCIA職員たちの即応能力が求められると、それなりに実動できる生態や行動など、かなりリアルである。

主演のマッド・デイモンの見事な演技と存在感、そして何よりもポール・グリーングラス監督の才気溢れる実力でラストまで飽きさせない佳作。

余談雑談 2022年5月28日
梅雨の足音忍び寄るですか。湿気が増し、嫌な汗をかく時期が到来。 それでも先立ての雨上がり、路地を歩いていたら頭上の雲が切れ、空がまぶしく輝いた。そこに偶然清々しい風が吹き抜け、瞬間、最後の海外旅行地コスタリカが甦った。 渡航はもう15年以上