針の眼 – EYE OF THE NEEDLE(1981年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:リチャード・マーカンド
製作:スティーヴン・フリードマン
脚本:スタンリー・マン
撮影:アラン・ヒューム
音楽:ミクロス・ローザ

キャスト
フェイバー / ドナルド・サザーランド
ルーシー / ケイト・ネリガン
ゴドリマン / イアン・バネン
ローズ / クリストファー・カザノフ
ハリス警部 / パトリック・コナー
パーキン / フィリップ・マーティン・ブラウン
ルーシーの母親 / フェイス・ブルック
ローズの母親 / バーバラ・エウィング
警官 / ステーヴン・マッケンナ

日本公開: 1981年
製作国: イギリス S・F、キングスロード・プロ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

今回も第二次大戦のノルマンディ上陸作戦に関するスパイ活動を描く作品にする。大仕掛けで相手を騙そうとする類ではなく、しっとりとして、且つ冷たさを感じさせるサスペンス。

イギリス、ロンドン第二次大戦が勃発し、遂にロンドンへもドイツ軍による爆撃が始まったころ。陽気な鉄道操車係のフェイバー(ドナルド・サザーランド)は、国のために戦いたいという後輩に、戦争は長引きそうだから急いで志願などしなくても良いんじゃないかと笑いながら答えるタイプだ。

しかし、その実態は優秀で冷酷なドイツのスパイである。下宿先で無線連絡をしているところを彼を慕う女性宿主に見つかると、何のためらいもなくナイフで刺殺。そして姿をくらませた。

4年後、フェイバーはスコットランドに潜んで諜報活動を継続していた。そして、いよいよ連合軍による反攻の大規模作戦が決行されるとの情報を得た上層部から上陸地点を特定せよとの命令が下った。情報収集後は、スコットランド沖に浮かぶ孤島近くで一週間だけ毎日同時刻に浮上するUボートによる救出が確約された。

その小島には将来を約束された将校だったが、新婚旅行先で自動車事故に遭い、両足を失った夫を持つルーシー(ケイト・ネリガン)が住んでいて・・・

冷徹なスパイと孤独な人妻が辿る孤島での愛憎劇。

殺人を厭わぬコードネーム「針」と呼ばれるドイツのスパイ。実に冷静に、何ら躊躇せずに殺人を繰り返していく姿は鳥肌が立つ。

その上、ヒトラーとの知己を得て信頼も厚く今回は総統直々の直令でもある。

そんな主人公は上陸地はノルマンディーであると確信するが、その極秘情報を直接持って帰国せねばならない。

一方のイギリスもロンドンでの女性宿主殺害で、主人公をスパイと特定し執拗に追う情報部関係者もいる。

そして、自動車事故で両足を切断し英雄になれずに悶々と、孤島で小さな男児と妻と暮らすひねた男。文句を言い、当たる相手は妻だ。そのヒロインにも絶望と孤独が付き纏う。

場所は人里離れた孤島で、ヒロイン家族以外には灯台守で飲んだくれの老人のみ。そこに嵐に遭遇し、命からがら漂着する主人公。当然、救出のタイムリミットやら以後の活動に障害が発生してくる。

ある意味、後半は孤島内という密室劇的サスペンスに変調していく。そこに欲求不満の肉欲が燃え上がる人妻と孤独な殺人者に成り下がった主人公にもいつしかそれが伝染し、ややこしく転がりだす。

天候が急変する極北の孤島。身も心も極北の男女。そして英雄になれなかった亭主。

孤島に漂着するまで、いかに主人公が冷徹であるかを嫌というほど見せられてきているのでサスペンスがジワリと忍びこみ、盛り上がっていく。

長年孤独を噛みしめてきた男と女に血が通うと何が起きるのか。その結果は、決して明るい希望的なものではないだろうと推察できる。

尤も、何も戦争下でなくとも人間の心に吹く隙間風は古今東西同じであると痛感させてくれる作品。

余談雑談 2022年6月25日
やっぱり癪に障る。PCタスクの強制変更に耐え、この発行を続けられたのは幸運。 すると別な「いじめ」が来襲しやがんの。いざ今年二回目の沖縄と喜び勇んでいると今度はエアチケットの問題が発生。 昔なら封筒で、航空券かバーコードが印刷された航空引換