今回の都々逸。
「実な心の竹橋よりも じゃけんなお前をすきや橋」
これは粋とか未練ではなく、「地口」系。今でいう「親父ギャグ」的なもの。
あくまでも東京の地名を若干知らないと理解しずらいかもしれない。まあ「すきや橋」は銀座の「数寄屋橋」で、「竹橋」は東京メトロの駅名で残っているから何とはなく想像は付くだろうか。
それにしても「数寄屋橋」のスクランブル交差点は知っていても『橋』が付くので実際に川があり、そこに架っていた橋名と知る人は一定の年齢以上だろうか。
ラジオドラマで放送時間は女湯が空になったと呼ばれ、後に映画化される「君の名は」(1953)の主人公二人が知り合う場所である。まあ、今の人はアニメ作品「君の名は。」(2016)を思い浮かべる人が圧倒的だろうが。
この唄の意味は実直で固い人柄よりも、クールで冷たい色男に惹かれるということ。でも、今ではこれだけ不況が長期化し、良い思いなど知らない若者が多くなると収入や性格の「手堅い」は、対象者となりうるとも聞く。
どの道、自分などどの時代でも実直でもないし、涼しげな色男でもない。それでも、誰かから「すきや橋」的告白は受けてみたいものだ。
まあ、夢は夢で終わるのが現実。モテる奴は昔からモテるし、頑張ってもダメな奴はダメかね。地口でいえば「恐れ入谷の鬼子母神」か。
何だかな。