封鎖作戦 – GIFT HORSE(1952年)

メルマガ会員限定

画像を表示するにはメルマガでお知らせしたパスワードを入力してください。

スタッフ
監督:コンプトン・ベネット
製作:ジョージ・ピッチャー
脚本:アイヴァン・ゴッフ
撮影:ハリー・ワックスマン
音楽:クリフトン・パーカー

キャスト
フレイザー少佐 / トレヴァー・ハワード
ダニエルズ / リチャード・アッテンボロー
ジェニングス中尉 / ジェームス・ドナルド
フラナガン / ソニー・タフツ
ウッド / バーナード・リー
ウィルソン大佐 / ヒュー・ウィリアムス
ジョーンズ / メレディス・エドワーズ
グラント中尉 / ロビン・ベイリー
マーティン / パトリック・ドゥーナン

日本公開: 1953年
製作国: イギリス モルトン・フィルム作品
配給: BCFC、NCC


あらすじとコメント

今回も第二次大戦下でのイギリス海軍の自爆特攻作戦を描く戦争映画にする。何とも負け組集団とオンボロ艦船という笑うに笑えない設定がイギリスっぽい。

イギリス、南西部デヴォンポート参戦前のアメリカは軍港使用の謝礼として第一次大戦時に建造された駆逐艦50艘を寄贈した。しかし、どれも老朽化が進んでおり、ある意味で有難迷惑でもあったのが事実。

その中の一艘「ウィットモア号」に新艦長として就任したのが不祥事から左遷させらていたフレイザー少佐(トレヴァー・ハワード)である。その上、乗組員たちも艦同様にクセのあるというか、一筋縄ではいかない人間ばかりですぐに喧嘩をしたり、老朽艦への愚痴ばかり言うような奴らだ。

艦の主な任務は輸送船団の護衛であるが、オンボロ過ぎて途中離脱を余儀なくされたり、敵Uボートを発見しても攻撃できずと海軍のお荷物扱いになってしまう。

周囲からも嘲笑され、全てが上手く行かない。修繕に次ぐ修繕で殆ど目的を果たせそうになくなった艦に、ある極秘命令が下った・・・

オンボロ艦と乗組員らを描く、どこか日本の特攻隊映画の匂いを感じる作品。

内容よりも数だとばかりに、古い艦船を押し付けられたイギリス海軍。当時はドイツ軍のUボートが北大西洋をぼほ掌中に収めており、イギリス軍は大打撃を被っていた。

それなのに寄贈オンボロ船で護送したところで逆に完全なる『お荷物』である。気難しく処罰に厳しい艦長やら、クセのあるベテランから若手までいる乗組員。すべてがオンボロで艦は故障で反抗し、乗員は他艦の乗り組らとの喧嘩で憂さを晴らす。

観ていて気持ちの良い進行ではない。イギリス自体が第二次大戦初期は敗走に次ぐ敗走で、各地で苦戦していたのは事実。

だからか対戦初期を描く作品は、どこか暗い印象の映画も多く、大概部隊ごと捕虜になったり、多数の死者がでるものも多い。

その系譜ではある。本編の半分以上が失敗の連続を描き、厭戦気分満載の進行だが、最後の極秘命令はまさしく特攻攻撃。

何と敵の巨大軍港の狭い入り江で、Uボートや巨艦が入出港できないように、塞ぐような角度で自爆沈没させるというもの。

つまり乗員らは無事には帰還できない作戦。流石に戦争とは非情なものだと訴えては来る。当然、その前に冷酷そうな艦長が実は真逆だとか、艦も大破から見事に再生、乗組員らにも一体感が生まれるなど定石通りを見せてからの特攻攻撃である。

単純にカタルシスが昇華しづらいのだ。そこにイギリスのジョンブル気質というか、負け行くときも気高くという誇りと矜持が感じられる。

演出は地味な正攻法で、艦長役で主演のトレヴァー・ハワードは誇り高い頑固で堅物で取っ付きにくいが実に味のある演技。

結果的に「負け」ではなく誇り高い勝利というスタンス。それが好きか苦手かは観る側次第だろうが。

余談雑談 2022年9月10日
イギリスのエリザベス女王の訃報。少し前から体調がすぐれないと報道されてはいたが現実となった。 個人的には1975年に訪日したときが思い出される。間違いなく自分の人生を大きく変えた出来事だったから。 東京京橋にある当時の「東京国立近代美術館フ