スタッフ
監督:マイケル・アンダーソン
製作:バリー・スパイキングス、M・ディーリー
脚本:ロバート・エンダース
撮影:ボブ・ヒューク
音楽:スタンリー・マイヤーズ
キャスト
ドレイク少尉 / マイケル・ヨーク
ハーパー大尉 / ステーシー・キーチ
ストロング大佐 / トレヴァー・ハワード
ウィンボーン少佐 / クリストファー・プラマー
ローチ少佐 / リチャード・アッテンボロー
スカーレット夫人 / スザンナ・ヨーク
ミリントン少尉 / ジェームス・フォークナー
軍医 / ジェームス・ドナルド
シン / ラフィク・アンワー
日本公開: 未公開
製作国: イギリス ライオン・インターナショナル作品
配給: なし
あらすじとコメント
イギリスの渋い役者トレヴァー・ハワード。彼が出演し豪華な実力派が揃った未公開作を扱う。19世紀のインドを舞台にした見応えのあるドラマ。
インド19世紀末のこと。イギリスから見習士官二名が研修のため現地の騎馬連隊に着任してきた。期間は3ヶ月である。一人は中産階級出身のドレイク少尉(マイケル・ヨーク)で、もう一人は将軍の息子でひねくれ者のミリントン少尉(ジェームス・フォークナー)。ドレイクはこの地で骨を埋める覚悟であったが、ミリントンは一刻も早くこのような僻地からイギリスに帰りたいと熱望していた。
その連隊は由緒正しきエリート軍隊で厳しい軍律でも知られていた。連隊長はストロング大佐(トレヴァー・ハワード)で、副連隊長は優しさも漂うローチ少佐(リチャード・アッテンボロー)。
ある晩、6ヶ月前の激しい戦闘で優秀な士官が戦死し、その奥方スカーレット夫人(スザンナ・ヨーク)を招待して励ます意味での舞踏会が催された。誰もが酔っ払った夜半、悲鳴とともに服を破かれ暴行痕のあるスカーレットが暗がりから飛び込んできた。騒然となる一同。
誰に襲われたのかと質問されると夫人はミリントンを指さして・・・
栄光ある部隊の暗部を謎解き形式で描くドラマ。
若い新任将校が二名。片方は母国に何としても一刻も早く帰国したい。そこに来て彼によるレイプ事件が発生。
しかし、部隊としては公の軍事裁判を開くと汚点が残る。然るして部隊内の下級士官のみによる非公開法廷で決着しようと相成る。
つまり上級士官には知らせず、上官らの名誉を傷付けない算段でもあった。そして無理矢理弁護士役を強いられるのが中産階級のもう一人の新任将校。
本人も犯人だと認め、他の将校たちも厚かましくてふてぶてしい被疑者を厳罰に処したくて出来レースを強要してくる。
しかし、主人公は受けた以上は最善の弁護を尽くそうとするから事が厄介になり、全員から目の敵にされていく。
ところが主人公が何やら裏があることに気付き、遂には連隊長らの知れるところとなり大騒ぎに発展していくのだ。
まったくアクション場面はなく、あくまで基地内の非公式裁判劇として進行するのだが、脇にトレヴァー・ハワードや、主役級扱いで「サウンド・オブ・ミュージック」(1965)にでたクリストファー・プラマー、「大脱走」(1963)で捕虜側代表と脱走計画責任者役で共演済みのジェームス・ドナルドとリチャード・アッテンボローなど、実力派が揃うとワクワクする室内裁判劇に仕上がっていく。
裁判劇のジャンルは面白い作品が多いとも言われるが本作も然り。確かに地味過ぎて劇場公開は見送られるだろうと思うが、中々どうして気高い男たちの思い込みや優越感で生きる表向きのエリート部隊とはまったく裏腹の部分があぶりだされていく。
結果的にストーリィも二転三転し真犯人がラストで明らかになるまでの流れも、いかにもの舞台劇要素は際立つが、トータル的に捨て難い作品の印象。