カッスル夫妻 – THE STORY OF VERNON AND IRENE CASTLE(1939年)

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スタッフ
監督:ヘンリー・C・ポッター
製作:パンドロ・S・バーマン
脚本:リチャード・M・シャーマン
撮影:ロバート・デ・グラス
音楽:ヴィクター・バラバール

キャスト
カッスル / フレッド・アステア
アイリーン / ジンジャー・ロジャース
マギー / エドナ・メイ・オリヴァー
ウォルター / ウォルター・ブレナン
フィールズ / リュー・フィールズ
ウーベル氏 / エチエンヌ・ジラルド
エミール / ロルフ・セダン
フート博士 / ロバート・ストレンジ
チャーリー / ソニー・ラムー

日本公開: 1940年
製作国: アメリカ P・S・バーマン・プロ作品
配給: 日本RKO


あらすじとコメント

ダンス・コンビで最高と称されたフレッド・アステアとジンジャー・ロジャース。二人で主演したコンビ作は前回の「コンチネンタル」(1934)から始まり9本制作された。そして本作が一応の最終作。後年MGMで偶発的に「ブロードウェイのバークレー夫妻」(1949)が制作はされるが。

アメリカ、ニュー・ヨーク

1911年、しがないブロードウェイ・コメディアンのカッスル(フレッド・アステア)は、人気女優の尻を追いかけリゾート地まで行ったが見事に撃沈。

落ち込む彼に妙に懐いてくる仔犬。だが、彼の心中はそれどころではない。何とか追いやるため棒を海に投げたら、思いの外遠くに行き、仔犬が溺れかける。

慌てた彼は飛び込んで救助に向かうが、ボートにいたアイリーン(ジンジャー・ロジャース)も気付き、飛び込んで・・・

実在した夫婦の数奇な運命を描くミュージカル。

売れないコメディアンと素人芝居の経験しかない若い女性が知り合い結婚する。典型的なボーイ・ミーツ・ガールでスタートするが、実話が原作。

結論から言って、明朗快活で大団円的なミュージカルに帰結しない。つまり、実に不思議な作劇と進行。

結婚はするが、問題は更に続く。先ず夫婦揃ってショウで踊りたいが、雇用側はあくまでアステア単独を希望。同意しかけるが妻の顔を見て断る。

それでも生活は続けないといけない。結果、何とか二人は出演を果たすが、今度はショウの興行権をフランス人が買い夫婦はパリへ渡る。二人の人生も好転かに見えるが、ショウの順延でギャラが貰えずに異国の地で借金生活に陥ってしまう。

やっと幕が上がると、やはりアステア単独と相成る展開。何とも暗い試練が続く。

ところが偶然二人のダンスを見た貴婦人が気に入り、デビューさせて一躍時代の寵児となり凱旋帰国。後は、飛ぶ鳥を落とす勢いで夫妻が流行の最先端を切り開いていく展開で、いよいよ本調子。

しかし、そこで第一次大戦が勃発。実に何とも言い難い暗い雰囲気が流れ続ける。

監督はヘンリー・C・ポッターで、フィルモグラフィーを見てもミュージカルはどうにも苦手なようだ。

アステアもコメディアン役なのでダンス場面登場まで時間がかかるし、ロジャースと一緒に踊るのもどうにも『ヘタ上手』的に始まり、中盤以降で一気に取り戻すようにテンポ良く様々なナンバーが登場するが、どうにも一曲じっくり見せるよりも断片集的繋ぎ方をして、何とも乗るに乗れない消化不良状態が持続する。

6年間で9本もコンビによるミュージカルが製作されたので、観客も演者も食傷気味になっていたと感じざるを得ない。

確かにアステアは一人いつも通りに飄々と、しかし確固たるプロ意識を持って演じているが、演技派に転向したがったロジャースが強力にコンビ解消を希望しているとも感じた。

つまり息は合っているのだが、コンビ初期群から見比べてくると微妙な呼吸の差異と距離感が常に横たわるダンス場面。しかも実話ゆえに大ハッピーエンドではないのも、コンビ解消に一役買っている気にもなるから不思議。

ただ、飄々という点では執事からマネージャー的友人に昇格していく名優ウォルター・ブレナンの助演がうまい緩衝材として機能しており、どこかホッとするのが救い。

しかし通して観ると、名コンビでもやはりマンネリには勝てないと感じざるを得ない作品。

そしてアステアは暫くスランプというか、混迷期に入っていく。ただし、後に見事に復活するから鳥肌が立つのだ。

余談雑談 2022年11月5日
実は面倒に見舞われた今回の訪沖。 いよいよ初「コザ」訪問の日。天気は朝から快晴で心地良い。しかも訪沖中はずっと傘マークなし。 一方、右脚のひざ下は違和感というより、痛さが増している。履き慣れた軽い靴で来たが、どうにも痛い。ヘルニア由来だろう