時代に取り残されて久しい。敢えて自らそうしているのだから文句は言えまい。
脚の痛みも完全にとれ、なるべく歩くようにしている。かといって公園や散歩コースを歩くわけでなく、ランチ開拓とか、どこかに行ったついでに少し遠回りする程度。それでも、もつれる様な感覚になることもある。
それが良く知らぬ場所だったりすると困る。JRや地下鉄の駅でもあれば良いが、中途半端だと途端に脚が重くなる。昨今はどの区にも100円均一の循環バスが走っているが、ほぼ路線ルートが分からない。
で、意を決してたまには贅沢にタクシーか。すると以前と違い、町を流すタクシーが激減。それなりの幹線道路でも、たまに走って来るのは実車中に、「迎車」とか「回送」。
聞いたら、昼前後は仕事明けの帰庫が多いし、そもそも今はスマホで呼ぶ時代だと。ハイハイ、そう来るかよ。
しかも電話予約ではなくアプリをダウンロードしておく、だと。成程、それで「迎車」なのね。
個人的にはバブル時代の夜の街を思い出した。狂乱の時代で、運転手が全員反社勢力に見えた。これからは調子に乗って立地的に明るくない場所の昼散歩は減らそうと思った次第。
その点、駅やバス停を知っている場所は安心。で、先立て飲んだ帰りにバスに乗った。知ってるルートだし、混んでいることはない路線で坐って帰れるのが高得点。しかも、距離で運賃が上がらない都バス。
乗客は少なかったが、若いバス運転手が興味深かった。一々、「信号止まります」「足元にご注意ください」「ご乗車有難う御座いました」と優しくアナウンスをする。
こんなことは初めてだった。親切なんだろうが、飲んだ帰りは静かに放っておいて欲しい。すると、あるバス停で貨物トラックがバス停近くに止まっていた。
その時だけ『違法駐車のため、少し離れて止まります』と言って、なるべくバス停標識に近付けるべく、ワザとトラックに幅寄せしてギリギリに、しかも斜めに止めた。
映画等で、反社勢力の車がターゲットの車前に滑り込み、斜めに止めて車から一斉に怖い人がでて来る場面が重なった。すわ、喧嘩になるぞと思ったほど。
幸い貨物トラックには運転手が乗っていなかった。それを確認しての幅寄せだろうか。
若くて普通の青年バス運転手に見えた。キレた訳でもなかろうが、プロとして絶対にトラックにこすらない自信なのか。それでも、出口ドア後方に坐っていた自分は充分に恐怖を感じた。
まだまだ他人を見る目がないな、と。それでも、運転手が走行中に心臓発作や脳溢血で意識不明になられるよりはマシか。
どの道、スリルやサスペンスに満ちた映画的発想しか浮かばないのは何故に。タクシーと同じで到着直前にメーターが上るとの同じか。
でも、メーターは間違いなく絶対に上がるんだよな。そっか、それがプロってもんなんだろうよ。
やっぱり、歩くか公共交通機関の人生か。