余談雑談 2023年3月11日

忘れられない記憶であり、忘れてはいけない事実。

東日本大震災から12年が経過した。金曜日の14時46分で、自室にいた自分が経験したことは生涯忘れない。

地震など想定しておらず、部屋に無造作に積み上げていたDVDの山とか食器類が飛び散り始めた。中でも倒れたら一番問題であろうと直感したオーディオ・ラックの上に数台積み上げていたVHSやベータのビデオデッキといったAV機器を体全体で押さえながら、他の物が飛び散るのを絶望感に襲われながら見ていた。

そしてまさかと思っていたブラウン管のテレビがラック横の棚から飛び出したが、足のももに当たり、角度が変わって低いテーブルに角だけぶつかって止まった。しかし、重過ぎて一人で元に戻せず、二日後に隣室の男性に手伝ってもらい元の棚に戻すまでTVは見られなかった。

それでも幸運にも東京はライフラインは使用可でPCは繋がっていて文字と写真の情報は収集可能だった。

関東以北がどのような状況かを推察するしかなく、翌土曜日の朝は詳しい状況が分からぬまま、このメルマガを発行した。

その時に扱った映画タイトルも覚えている。なのでそのタイトルを偶然見かけると一挙にその時の状況が呼び起こされる。

数日後、中米コスタリカに移住してピザ屋を開店しているイタリア人の親友から国際電話がかかってきた。世界規模で救援物資収集や募金運動が起きていて、何か自分らに出来る支援はないかと。

震災の前年にコスタリカ初訪問を果たし、そ奴と10数年振りの再会を果たした。やはり、持つべきものは腐れ縁と悪友。もし、避難移住してくるなら自分の家に住んでも良いぞ、とまで言ってくれたっけ。しかし、震災時は旅券が失効していたからすぐさま逃げ出すわけにもいかなかったが。

あいつはイタリアのボローニャから移住し、サン・ホセに骨を埋めるつもりだろう。もし奴がイタリア在住のままだったら、長い避難を真剣に考えたかもしれない。

でもコスタリカにはあまり惹かれなかったのも事実。自然豊かだが、トレッキングやダイビングをするタイプでもないと飽きるし、食事も口に合わず。

とにかく、自分の中で幾つかの価値観が激変した出来事。コレクターとして映画グッズから観賞用レーザー・ディスクやレコードと何でも集めたが、場所取りと重さに閉口し後にAV機器も含め、幾つも処分した。

それに以降旅券を再取得することもなく、当然、海外へは一切行ってないし、恐らく余生でも行かないだろう。

年相応以上に体力も資金も急速劣化。見栄を張ることもなくセコさを売りにする。そういえば震災後に「計画停電」なんてのもあったっけ。だからか、部屋の電気は誰かが来宅したときのみ点灯。なのでライフライン系の支払いはすべてが基本料金のみだ。どれほどセコさが身に沁み込んでいるのか。

ふと先立て、何を思ったか部屋の電気を点灯したら、蛍光灯電球が不意に切れた。ああ、もったいない用もないのに点灯したからだな、が第一印象。

でも、最後に切れたのはいつだったかも思い出せない程の過去。そもそも蛍光灯だぜ。

それでも死にはしない。ならば、今以上にラクで便利じゃなくても大いに結構だな。

風化できない記憶と寄る年波。12年の月日が流れ、それ以上の天災も起き、新種のウィルスにも席巻された。

でも、やっと週明けからマスクが外せる。

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