夕陽のギャングたち – GIU LA TESTA(1971年)

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スタッフ
監督:セルジオ・レオーネ
製作:フルヴィオ・モルセーラ
脚本:S・レオーネ、S・ドナティ、L・ヴィンチェンツォーニ
撮影:ジュゼッペ・ルッツォリーニ
音楽:エンニオ・モリコーネ

キャスト
ミランダ / ロッド・スタイガー
マロリー / ジェームス・コバーン
ビェイガ / ロモロ・ヴァッリ
レーザ大佐 / アントワーヌ・セント・ジョン
ハイメ / フランコ・グラジオーシ
サンテルナ将軍 / リック・パッタリア
アデリータ / マリア・モンティ
ノーラン / デヴッド・ウォーベック
フエルタ知事 / フランコ・グラツィオージ

日本公開: 1972年
製作国: イタリア ラフラン・チネマトグラフィカ作品
配給: ユナイト


あらすじとコメント

アクション系スターのジェームス・コバーン。今回は面白い役どころのマカロニ・ウエスタンにしてみる。セルジオ・レオーネ監督の鷹揚さが前面にでた巨編。

メキシコ 北部

20世紀に入ったころ。小さな子供を含む一族郎党で強奪行為を繰り返すミランダ(ロッド・スタイガー)。

今回狙ったのは金持ちのみが乗車する豪華な駅馬車。力付くで強奪した戦利品を見ながら喜んでいると、オートバイにまたがったマロリー(ジェームス・コバーン)が素知らぬ顔で通り過ぎた。仲間の一人がバイクのタイヤ目掛けて銃弾を放つと当然パンク。首を横に振りながら降りるとミランダたちの元へやって来て、そのまま駅馬車に乗り込んだ。何事かと見守る一族に下車してくると「離れろ」と不敵な顔を浮かべた。直後駅馬車は大爆発。度肝を抜かれるミランダたち。

彼はアイルランド革命の戦士であり、イギリスで指名手配中のテロリスト。しかも爆破のプロであった。殺そうとする仲間を制するミランダ。彼にあるアイディアが浮かんだのだ・・・

野蛮な山賊が英雄に祭り上げられるシニカルな大作。

ダイナマイトやニトログリセリンを自在に操り爆破するIRAの戦士。当然イギリスからはテロリスト扱いである。

一方の山賊のドンは文盲で無学。それでもアイルランド人を見て、街にある銀行を襲撃できると踏む。命は助けてやるからと何とか仲間に引き入れようとするが、そうは簡単に行かない。

何やかやとあって、実はテロリストは母国で革命に失敗し仲間を失った過去があり、今回メキシコの独立戦線に加担しようとやって来ていたのだ。

当然、山賊よりは頭は切れるので銀行襲撃に加担すると見せかけて一族郎党を独立運動に参加させていく。

一族は狐につままれた態で参加を余儀なくされていくが、独立側のリーダーやメキシコ側に着くドイツ軍将校などクセのある脇役も登場してきて、やがて山賊の長が同国人ということで英雄に祭り上げられていくというシニカルな展開。

コバーンはあくまで脇役の策士という扱いで、ロッド・スタイガーは直情的で無学だが憎めない小悪党で主役。

西部劇大好きなセルジオ・レオーネ監督は低評価で、アメリカ西部劇ファンからは何やかやと揶揄されながらもマカロニ西部劇を牽引してきた。

クリント・イーストウッドも賛辞を惜しまない監督であり、途中から壮大なスケールの巨編を産出してきた。

今回も派手なアクションや人間描写の鷹揚さが加わり2時間半の大作に仕上がっている。当初はアイディアと脚本のみで監督は別人を予定していたが主役の二名がレオーネでないと降板すると強く主張しての監督作と相成ったとか。

スピード感で見せる作風ではないので、どうしても長尺になる。ただしアメリカ人でないところに設定の妙とアメリカ人なら目を瞑るとか、見逃す視点を持っての作品ばかりでファンも多い。

本作も西部劇にアイルランドの革命戦士を結びつけるというのも興味深いと感じた。

ただし、好き嫌いは分れる監督でもある。

余談雑談 2023年4月1日
新年度が始まり桜は散る。 雨模様が過ぎ、少し散歩してみた。滅多に通らない場所に幼稚園や学校、神社があり桜が目に入る。満開もあれば、散り際で新緑が芽吹いている木も。樹木の古さなのか、陽当たりの違いなのか。 確かに陽当たりは大事だ。桜なら早く咲