バニシング・ポイント – VANISHING POINT(1971年)

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スタッフ
監督:リチャード・C・サラフィアン
製作:ノーマン・スペンサー
脚本:ギレルモ・ケイン
撮影:ジョン・A・アロンゾ
音楽:ジミー・ボーウェン

キャスト
コワルスキー / バリー・ニューマン
スーパー・ソウル / クリーヴン・リトル
ジェイク / カール・スウェンソン
スコット / ポール・コスロ
コリンズ / ロバート・ドナー
エンジェル / ティモシー・スコット
裸のバイク乗り / ギルダ・テクスター
ゲイのヒッチハイカー / アンソニー・ジェームス
砂漠の老人 / ディーン・ジャガー

日本公開: 1971年
製作国: アメリカ キューピット・プロ作品
配給: 20世紀フォックス


あらすじとコメント

前回の「ロリ・マドンナ戦争」(1973)の監督リチャード・C・サラフィアン。今回は彼の代表作にして「アメリカン・ニュー・シネマ」を代表する一本。無軌道な男の閉塞感を道に例えて描く佳作。

アメリカ、コロラド

一人だけで車を運転し目的地まで届ける陸送屋コワルスキー(バリー・ニューマン)が深夜、デンヴァーの会社に車を届けにきた。すぐに次の仕事は何だと尋くコワルスキー。次は「白の70年型ダッジ・チャレンジャー」をサン・フランシスコに届ける仕事があるが、今夜は休んで明日出発しろと告げる社長。しかし、彼を首を横に振り、このままとんぼ返りで向かうと答える。疲れているようにも見えるが、ドラッグでもやっているのだろうか。

そして彼は出発した。途中のドライブインに立ち寄ると友人がいて、また仕事かよと驚かれる。コワルスキーは笑いながら答えた。じゃ、賭けよう、この車を15時間で届けてやる。着いたらシスコの町から電話するぜ。

そう言い残して彼はアクセルを踏んだ。しかし、距離を考えると時速200キロ平均でないと不可能だった・・・

人生を生き急ぐかのような男の挽歌を描く佳作。

ヴェトナム戦争から帰還後、警官に。しかし、公表できない理由で免職。それからバイク、カー・レーサーに転職するが、やはり何らかの理由で解雇。

そして、現在はフリーで陸送会社の運び屋になった主人公。孤独なようで排他的なタイプではない。だが、何かに憑依されたかのような雰囲気も漂う。それでも、どこかクールだ。

掴みどころのないイメージもあるが、アクセルを強く踏み込んで速度違反のし通しで突っ走る。

彼にシンパシーを感じ、応援放送する盲目のDJ。他にも直接彼に会い、好意を持つ人間もでて来る。中には、追尾する警官の中にも妙に心通わすのもいるから不思議だ。しかし、どんな相手にも一定の距離感を保ちつつ、ひたすら突っ走る。

確かに、速度違反と停止命令無視違反は重犯罪ではない。なので警察も強硬手段にでられない。

決して無軌道でもなく、無鉄砲でもない。ただ、何かに取り憑かれているようだ。恐らくは戦争に従軍したことによって心に深い傷を負っているのだろうと推察させる。

真面目ゆえに現実に失望し、先行きに明かりを見いだせないのだろうか。

やはりアメリカ南部の人間たちの閉鎖性が「イージー・ライダー」(1969)同様に登場してくる。共通するのは、自分らの価値観以外に多様性を一切認めず、直情型で軽薄な思考ゆえの暴力の行使。

なので「イージー・ライダー」ではオートバイ、しかも二人組の仲間、本作は車で一人きりという違いがあるが、閉塞感打破のために「好きに生きる」タイプで、よく対比して語られる作品でもある。

ただ、本作で意識的に登場してくるのは直線道路と道のない砂漠での疾走。それが何を意味し示唆するのか。

当時のアメリカの病巣を覗き見出来る作品である。

余談雑談 2023年4月22日
新しいものに興味はないのだが。 不思議に思うことがある。関西にある「江戸前」を謳う寿司屋。そして東京で「関西風」のお好み焼き。 それぞれの地域に思い入れがある古風な人間には、珍妙に映るのだろうか。 自分もその一人だ。昔は江戸前の海で獲れた「