気持ち良い気候の東京。そのうち梅雨に入り、蒸し暑いとか皮膚呼吸がとか言いだすに決まっているのだが。
それでも早い日の出が嬉しくて窓を全開にしてみる。すると風向きによってか美味しい香りが漂うことがある。
その主は、自室の入るビルの隣にある1、2階がカフェで3階はパン工房の店。どうやらそこが評判らしく、場所柄か、それともネット評判なのか開店早々から行列が絶えない。
それなり価格のカフェに行列までして休憩とはご苦労なこったと気に留めてもなかった。だが、考えればそのために早朝からパンの仕込みをするのも当然。
起きがけの空気の入れ替え時に工房からパンの焼ける良い匂いが昇ってくる。当然、こちらは朝食前なので空腹に響く。
でも、何だか贅沢なモーニングの気分になるから不思議だ。せめてもと、まとめ買いしている1リットル弱で90円もしないアイス・コーヒーなんぞ持ち出してみる。
ふと、昔に読んだマンガを思い出す。うなぎ屋の換気扇の下で匂いを嗅いで白飯を食べるのに似ている、と。どの道、アイス・コーヒーじゃ空腹は満たされぬが。
これ即ち『心の栄養』で、武士は食わねど高楊枝、てか。でも、罪な香りだよな。それでも絶対に高いカフェに行ってまでパンなど食べないですが。
ま、我慢せよってことね。でもストレスは溜まる。そもそもオシャレなカフェのモーニングなんぞ似合わないし、じゃ、何よと朝飯系でそれに勝るものを考える。
和食系というほどでもないが、ならば納豆でしょうかね。これは好き嫌いが別れそうだし。
そこで自分らしさを発動。敢えて、納豆をイメージし、焼き上がりのバターの匂いと安価なアイス・コーヒーに重ねてみる。
何ともバランスの悪いイメージが浮かぶ。結果、食欲が失せダイエットには良いかも。もしくは自分の人生の如し。苦い思い出ばかりが甦り、胸焼けしそうな気分になる。
払拭するには、コーヒーをビールに変更。それが一番さと直感する自分。難しい奴なのか、いかにも自分っぽいよなと単純なのか。
他人からは面倒臭いというレッテルを貼られるのがオチだけどね。
きっと、今日も一日平和なんだろうな。