今回の都々逸。
「とめて良かったこのまま帰しゃ どっかで濡れてる通り雨」
昨今の亜熱帯性気候だとスコールが当然の如く起きることが常態化した日本。天気予報の精度も上がり、傘を持って外出をと毎日のように言っている。
中には外出時の空を見上げ、晴天が続くと感じたり、一々、天気など気にせぬわという御仁もいらっしゃるか。
それで不意の土砂降りだと、却ってあきらめもついて気持ち良いかも。何ならソープでも持ってりゃ、一回分シャワー代が浮くと嘯けるか。確かに今や水道も電気代も高いしな。
まあ、そんなことでなくこの都々逸は、好きな御方の帰路を心配しなくてすむことでしょうな。となればいつもは帰る人。即ち、日陰の女性が詠んだものだろう。
もしくは、途中で新たな出会いがあって、違う意味で新規の相手と濡れてしまわないかとの心配とか。
それに、残ってほしいと甘える前提を別な視点で考えると水商売系の『延長』希望を連想する。そろそろ帰ろうかとすると、決まって寂しそうな目で「もう帰っちゃうの」と言ってきたりするやつ。キャバクラなどは男性スタッフもこれを使う。
結局、客の酔い具合を見てくすぐってくるのだ。それに黙って従うのが『上客』なのかもしれぬ。自分などは、逆にそんなことを言われると酔いが醒めることが多かった。そもそも美女の甘言など大嘘でしかないし、信じたら大変なことになる。
昔、その手の店に顔を出していた時は「あら、本当よ。貴方が好きなの」とか呟かれた。そうなると自分の価値観で意見を始める。「嘘をつけ。本当に好きならここでバカ客に媚を売っている姿など見せたくないし、そんな金があるんなら店なんぞに来ずに、二人だけで美味しいものを食べに行こうよ。ノルマは他のバカ親父に払わすから」というのが正論じゃないかね、と。
ハイ、ここでゴミ親父決定。向こうからしたら、何様のつもりと。結局、金を使わず、俺様に惚れろよ、と何の裏付けもない自惚れでしょ。自分はそれに気付かされたので、何とか足が遠退いた。
でも、それでも未だに接客系飲食店は絶滅しないから男の本能は途切れることはないのか。まあ今の若い人は、昔ほど足繁く通うタイプのパーセンテージは低下してるんだろうが。となると懲りないオジサンたちに負担がかかる。それはそれで楽しいのかもしれぬが。
自分はやらないので理解できぬがギャンブルと似ているのか。博打などはビギナーズラックでハマっていくパターンも多いとも聞く。知らないので無欲の勝利的な。それに似ていると思うと、初期に水商売の美人とオイシイ思いが出来たので沼にハマった。
でも、そんな話は聞かないんだけど。周囲に、それを吹聴する野暮天がいなかっただけかもだが、それなら自分で付き合う友人を選んできたということで納得は出来る。単純で「かつて」の肩書や武勇伝で相手を威圧しようとするタイプ。大の苦手で、今なら理論構成で勝てる気もする。でも、その手のオジサンたちは学習効果がないから無駄なんだよな。それ故に接客系に飲みに行くのだから。
しかし、そんな心情だから、雨かもと止めてくれる美人など持ってこられなかったのかな。まあ、やっぱり男は現時点での地位か金が前提だろう。
この都々逸を謳うとか胸に秘める日陰の女性を持ち続ける御仁など、今や東京都港区の住人以外にいるのだろうか。尤も、そのあたりの男性にアピールするのは、控え目なタイプじゃないか。
どの道、何にせよ異性になんぞ縁のない余生を継続中だ。