余談雑談 2023年8月26日

世界的に有名な渋谷のスクランブル交差点。

その一角にある有名レンタルDVDの店。そこが10月一杯でレンタル業務を終了すると発表。

完全に一時代の終了である。以前、どの街にも個人店を含めて数店舗はあったビデオ・レンタル店。個人商店が圧倒的で、本当に映画好きのオーナーの店は所蔵作品が好みに合うなとニコニコと通った。初期は同じ映画をVHSとベータと2種類でストックしていたのも懐かしい。

中には日本映画専門という小さな店もあり、そこの店主は映画製作関係者で客と専門的な話をしていた。自分も年を取ったらこんな店を開いて、心底映画好きな顧客と日がな映画談議に花を咲かせたいと思っていた。実際はその年代になったら人間嫌いになったけど。

レンタルでの映画鑑賞も楽しみ方は暇潰しとか話題追従型とか様々だろう。以前にも書いたが、自分は近隣8店舗の会員になり、店舗ごとにそこでしかない映画を収録時間と共に書き出し、作品系統別で振り分け3倍速ダビング用にジグソー・パズルの如く組み合わせて、ひとりで悦に入るのも大事な楽しみのひとつだった。

ただし、順番を決めて借りに行くと貸出し中だったりすると落ち込んだりもした。更には借主がテキトーな奴だと平気で延滞とか、もっと酷いと破損させ在庫から消えるなんてことも。こういう時も人間性が出るんだなと思い、弁償購入させて出禁にしやがれと叫びたくもなった。まあ、こちらも無断ダビングするし、確かに違法行為ではあったが。

そこに大手チェーン店が登場し時代はVHSビデオからDVDへと主流が変わっていき、次々と淘汰された。その時の虚しさは昭和に味わった地元名画座や鄙びた映画館の廃業と同じだ。

結局、繰り返す。今回はその大手すら撤退。世は無料系動画とかダウンロードなど手許で更に簡単に楽しむ時代。しかも「タイパ」なる言葉まで登場し特段生き急いでいる訳でもなかろうに、きっと人間性劣化が加速するんだろうとも感じる。そんな生き方をして今以上に長生き時代になったらどうするんだろう。ま、こっちはそんな時代まで生き延びていないから幸いだろう。

昔なら「頭でっかち火星人」、「頭がピーマン」とか揶揄されたが、まだ不便さが残ってもいた。映画を外で鑑賞するには「シネコン」でなく、大きな町の「封切館」か、待って安い三本立興行の二流館とか、小さいながら館主のこだわりチョイス二本立の名画座に出向いた。そんな記憶が残っているのは年金受給世代以上だろうな。

でもさ、考えたらレンタルビデオだって、気軽に見たいときに自宅で見られる便利システムの発想だったよな。それに完全に乗っていた自分がいた訳だから、偉そうなことは言えぬか。

でも、渋谷店はわざわざ未DVD化のVHSビデオを集めて貸し出すコーナーがあった。自分もそちらがメインで何度も行ったりもしたが、大体借り切った感がある。今後あれだけのビデオはどうするのだろうか。

その大手レンタルチェーンには『取り寄せ』なるシステムがあるから、法外な値段で枯渇感を刺激し流通させてはどうだろう。現に自分もネット貸出し専用ビデオ屋で高額レンタルしながら、ここでの不可欠映画を探しては組み込むようにしている。それも一本だけ差し込めなくて、硬くなってきた頭を呼び起こし、手許にあるパンフや録画済みの関連映画を探しだしパズルのように組み直す。まるで、昔のビデオ3倍速ダビング時の昂る気持ちを再確認の如しだ。

とはいっても、その大手チェーンは暫く前にスマホで在庫アプリをダウンロードをしないと検索できないシステムになってもいた。成程、今回のことへの助走だったか。つまり、自分のような頑固な昔人間は文句しか言わぬから世間からフェード・アウトしてけってことでしょうかね。

そこで嫌だイヤだと駄々をこねる性分でもない。まあ、既に収集した映画が数千本ほどある。それを見直すだけでも余生が足りないかも。

でも、絶対に課金制動画などに登録はせぬ。どうせ自分が禁を破ってまで見たい作品をチョイスできるスタッフやAIなどいるものか。

もしいたら、と悩みもしない。心底天邪鬼的チョイスだと確信してるし。一定数ファンのいるカルト系でもないし、隠れたる名作でもないから。

まるで自分自身だね。

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