スタッフ
監督:セシル・B・デミル
製作:セシル・B・デミル
脚本:A・ルメイ、J・ラスキーJr、C・G・サリヴァン
撮影:ヴィクター・ミルナー、W・H・グリーン
音楽:ヴィクター・ヤング
キャスト
リヴァース / ゲーリー・クーパー
ルヴェット / ポーレット・ゴダード
エイプリル / マデリーン・キャロル
ブレット軍曹 / プレストン・フォスター
ローガン / ロバート・プレストン
コルボー / ジョージ・バンクロフト
デュロック / エイキム・タミロフ
マクダフ / リン・オーヴァーマン
ビッグ・ベア / ウォルター・ハンプデン
日本公開: 1952年
製作国: アメリカ パラマウント作品
配給: パラマウント
あらすじとコメント
今回もゲーリー・クーパー主演作。監督は巨匠セシル・B・デミルだが、大作という風情ではなく恋愛からアクションとソツなくまとめあげた娯楽西部劇。
カナダ、アメリカとの国境近くの北西部
1885年のこと。その地の治安にあたるのはカナダ政府指揮下の北西騎馬警官隊である。ところが、先住民と移住者の血族であるメティス族が政府に反旗を翻すべく立ち上がろうとしていた。
それに目を付けたのが武器密輸業者コルボー(ジョージ・バンクロフト)。彼は以前蜂起に失敗しアメリカで逃亡生活を送る男と共謀し、強力な機関銃を含む武器の密輸を図った。彼らの不穏な行動に気付いた警官隊のブレット軍曹(プレストン・フォスター)と部下のローガン(ロバート・プレストン)であったが、時すでに遅くメティス族に接触されてしまった後であった。しかもその地の警官隊は50名しかいない。もし豊富な武器を有した上に、他の先住民らと組まれては政府転覆にも繋がりかねない。
そんな折、遥々テキサスから武器商人コルボーを逮捕するべくテキサス・レンジャーのリヴァース(ゲーリー・クーパー)がやって来て・・・
単純な「西部劇」でなくカナダという目先の変わった場所で進行する娯楽活劇。
英連邦内の自治区であったカナダ。本作は、そんなカナダの歴史を説明するところから始まる。
先住民がいた場所にフランス系移民が入植し、以後、イギリスの支配下に置かれた。当然、それを快く思わない混血族が反乱を起こそうとしたが失敗し、再度蜂起しようとするのが本作の発端である。
そこで治安を守るのが騎馬警官隊。彼らは誇り高く勇敢だ。しかし、あまりにも多勢に無勢という状況下に、飄々とした、いかにも「ヤンキー」な男が単身でやって来る。しかもメキシコ国境に隣接するテキサスからで、北米を縦断してきたのである。
お互いがまったく見知らぬ状況ながら逮捕したい人間が合致しているのだ。さて、どちらの権限が優先されるのか。そこに持って来て、主人公と意地の張り合いになる騎馬警官の軍曹が好意を寄せる美人看護師が登場。たちまちテキサス男も目が輝くという寸法。
更に、看護師の弟が軍曹の部下であり、且つ、叛乱を企てる血族長の娘と恋仲という設定だから、話がややこしくなるのは当然。
主軸としては騎馬警官側と蜂起側の双方が組みたい先住民族を取り込もうとして躍起になり戦闘となる。その勝敗で気を引こうとするのだ。
となればアメリカ人である主人公は蚊帳の外という状態で進行する。そこがどうにもクーパーの存在が『脇役』という印象を与える。それにスコットランドの血を引く男と混血族ゆえに、敵対するしかなくなる親友同士などもサブキャラとして目立つ存在となり、かなり「ごった煮状態」で物語は転がって行く。
欲張った展開であり、様々な人物によるエピソードもある程度丹念に描かれるので混乱しそうになるかと思うかもしれないが、デミル演出は堅実であり、安心して見ていける。
しかし、どれもスピーディな展開ではないので、そこに前時代性を感じる観客もいよう。それでも数多い登場人物全員に、それぞれヤマ場が設けられ、そのどれにもそこそこの感情移入が出来るのは見事である。
コメディ的要素も散りばめ、ある程度派手なスペクタクルや恋愛、友情ドラマも混在し、娯楽活劇として上手くまとまった作品といえよう。
ただし、最後まで見てもやっぱりクーパーは脇役という印象が拭えなかった。