少年の町 – BOYS TOWN(1938年)

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スタッフ
監督:ノーマン・タウログ
製作:ジョン・W・コンシダイン・Jr
脚本:ドア・シャリー、ジョン・ミーハン
撮影:シドニー・ワグナー
音楽:エドワード・ウォード

キャスト
フラナガン神父 / スペンサー・トレーシー
マーシュ / ミッキー・ルーニー
モリス / ヘンリー・ハル
ピーウィー / ボブス・ワトソン
ポネッサ / ジーン・レイノルズ
マーシュの兄 / エドワード・ノリス
ファロウ / レスリーフェントン
保安官 / ヴィクター・キリアン
スキニー / マーティン・スペルマン

日本公開: 1939年
製作国: アメリカ MGM作品
配給: MGM


あらすじとコメント

今回も名優スペンサー・トレーシー。前回同様、実在した人物を演じてアカデミー主演男優賞を受賞した映画にする。成程これは受賞するよなと思わせるヒューマン・ドラマ。

アメリカ、ネブラスカ

理想家肌で熱血漢のフラナガン神父(スペンサー・トレーシー)は、とある死刑囚の最後の懺悔で、自分が幼少期に人間の愛に触れていたならこんな人生にはならなかったと聞き、一大決心をする。

それは身寄りのない子供たちのみを集め、自治の精神から他人への信頼や協調を育む施設を建設すること。多くの大人たちは牧師の戯言と馬鹿にするが、劣悪環境下の少年院に入れ、退所後はどうせ無法者にしかならないと半ば素知らぬ顔ではないかと喰ってかかる始末。

しかし実現には膨大な資金が必要。そこで質屋を営む親友を懐柔し何とか小さな収容院を建設した。そんな噂を聞き、収監中のギャングが弟マーシュ(ミッキー・ルーニー)が自分を慕い悪の道に深入りせぬように院で面倒をみてくれないかと懇願される。

フラナガンが実際に弟に会うと・・・

多くの不良少年や孤児たちを更生させた実在の神父を描く佳作ドラマ。

熱血漢である牧師。上手く友人を巻き込んで収容院を作るが当然内情は火の車。

それでも色々な大人を懐柔したり論破しながら施設を拡大させて、やがて「少年の町」と呼べるほど様々な施設を増築し、収容少年たちの中から「市長」を選挙で選出させ自治権まで与える。それにより人としての自覚と慈愛の精神が宿ると信じているからだ。

当然、個性豊かな子供たちがいる。メインとなるのは後にミュージカル俳優としても有名になるミッキー・ルーニー。

兄が有名なギャングであり、自分も兄同様な顔役になりたいと願っている。しかし、あくまでも『子供』である。

情緒も不安定だし大人びても所詮は子供。それでも、院内では一目置かれたいと。

そんなことは先行承知の主人公であるが、敢えて放任する。しかし、それが後に施設の存続を左右する大騒動に発展していくのだが。そしてその時に周囲の子供たちはどういう行動を取るのか。

時代背景もあろうが、やはり理想的な展開である。それでも子供を慈悲深く見つめながら自分の未熟さを嘆く難しい役どころを見事に演じ切ったトレーシーは熱演であり名演。

主演男優賞も頷ける存在だし、実在したフラナガン神父同様、アイルランド人としての血がたぎり、喧嘩早い性格が浮かぶ。

それだけ頑固であり、実に頼り甲斐のある男だと感じさせる。このキャラクターだから周囲の大人や孤児たちが信頼を寄せて行くのだろうと納得もさせられる。

実在したフランガン氏は第二次大戦後訪日し戦災孤児や満州からの引き上げ孤児らへの対策に協力した。その成果は以後、「赤い羽根共同募金」として現在でも活動が継承されている。

それでいて映画は特定の宗教を啓蒙し鼓舞するのではないところに好感が持てた。現実は理想家には厳しいとは誰もが知っているが、それでも真っ当な作品を世にだすことは悪いことではないと教えてくれる佳作。

余談雑談 2023年9月23日
やっぱり苦手なんだよな。結果、自分の未熟さにもつながることなのだが。 多くの人間は「自分は少しでも得したい」と願うものだ。それがどの程度かは人による。 先日、バー系の店にいってみた。オーセンティックでもないので、カウンター越しだが女性が接客