窓 – THE WINDOW(1949年)

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スタッフ
監督:テッド・テズラフ
製作:フレデリック・ウリマン・Jr
脚本:メル・ディネッリ
撮影:ウィリアム・スタイナー
音楽:ロイ・ウェッブ

キャスト
トミー /  ボビー・ドリスコル
ウッドリー / アーサー・ケネディ
メアリー / バーバラ・ヘイル
ケラーソン / ポール・スチュワート
ジーン / ルース・ローマン
水兵 / リチャード・ベネディクト
警官 / ロイド・ドーソン
記者 / リー・カス
刑事 / アンソニー・ロス

日本公開: 1950年
製作国: アメリカ RKO作品
配給: セントラル


あらすじとコメント

子供が犯罪に絡む話。今回は少女から少年へ変わる。オオカミ少年がリアルな殺人を目撃し、追いつめられていくサスペンス・スリラーで、地味ながらまとまっている作品。

アメリカ、ニュー・ヨーク

イーストサイドの老朽アパートに住む9歳の少年トミー(ボビー・ドリスコル)。彼はいつも空想話をする少年で、今日も友だちらに父親が持つテキサスの牧場に引っ越して馬を飼うんだ、本当だぞと大風呂敷を広げた。

仲間の数人がその話を親たちにしたものだから、管理人が入居希望者を連れて部屋に来てしまう。部屋にいた夜勤へ出る父親(アーサー・ケネディ)と母親(バーバラ・ヘイル)は晴天の霹靂。流石に嘘が多いと叱られてしまう。どうにもインディアンや殺人が絡む妄想話を口走る性格で、当の本人は素直に謝るものの改善の兆しはなさそうだ。

父親が夜勤に出掛けると暑い夜で外の非常階段で寝ると言いだした。枕を持ち、少しでも涼しいかと上階のサッシで寝ようとした。

ところが、窓の隙間からその部屋の住人ケラーソン(ポール・スチュワート)と妻ジーン(ルース・ローマン)が男をハサミで殺害し金を盗む姿を目撃してしまい・・・

小品ながらツボを押さえたスリラー作。

嘘ばかりつく『オオカミ少年』が本当の殺人現場を目撃する。ありがちな設定であり、当然、犯人側から魔の手が伸びる展開。

被害者と犯人夫婦の関係性が何ら明かされないまま、いきなり殺人シーンとなる。主人公の少年が部屋に逃げ帰った後、非常階段から屋上へ死体を運び出すのだが、少年自体は運搬を見ていないので、後々の死体発見はどうなるのかと興味を引く。

当然少年は両親に報告するが階上の善人そうな夫婦を実名で殺人犯に仕立てるのは問題があると叱る。

どうしても信用してもらいたいと焦る少年。すると彼は居間には両親がいるので、非常階段から外出し、今度は警察に目撃情報を伝えに行くが、結局信用されない。しかも母親が上階の夫婦に直接詫びに行くと言いだして慌てふためくのは当然。

だが、それが犯人夫婦へのヒントとなり、狙われる羽目になっていく。

しかも母親の入院中の姉が様態悪化という電報が届くから少年は上階夫婦の策略だと言いだす始末。しかし本当であり、母は遠方に見舞いに行き、父は夜勤に出掛ける。

そういったサスペンスが積み重なり、少年が部屋にたった独りの状態になったことから一挙にスリラー要素が加速していく。

白黒スタンダード画面で、陰影をうまく生かしたカットや編集。随所にヒッチコックの影響が感じられるのは、監督のテッド・テズラフがヒッチ御大の「汚名」(1946)の撮影監督であったことも関係しているか。

特に終盤の廃ビルでの追跡シーンなど妙味がある。それは、いかにもの少年的発想と行動に、犯人が夫婦であることも作用している。

80分にも満たない小品ながらコーネル・ウーリッチの原作を上手く捌いて好感。

ありがちな設定だが、演出方法と上手いプロットで全体的に地味めながら見て損はない作品。

余談雑談 2023年12月9日
金はあるに越したことはないよな。 昨今は若い女性相手のホストへの『売掛金』が問題視され、国まで動き出した。自分も前世紀の時代だが銀座のクラブで飲み歩いた時期があり、支払いシステムは同じ。 間違いなく分不相応で祖父の時代からの会社を清算する最