靴みがき- SCIUSCIA(1946年)

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スタッフ
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
製作:パオロ・W・タンブレッラ
脚本:V・D・シーカ、チェザーレ・ザッパティーニ 他
撮影:アンキーゼ・ブリッツィ
音楽:アレッサンドロ・チコニーニ

キャスト
マッジ / フランコ・インテルレンギ
フィリプッチ / リナルド・スモルドーニ
ラファエッラ / アンニエロ・メーレ
アルカンジェリ / ブルーノ・オルテンシ
スタルフェーラ / エミリオ・チゴーリ
ヴィットリオ / パチフィコ・アストロローゴ
シチリア人 / アンジェロ・ダミーコ
占い師 / マリア・カンピ
ジョルジョ / エンリコ・デ・シルヴァ

日本公開: 1950年
製作国: イタリア アルファ・チネマ作品
配給: イタリフィルム、東宝


あらすじとコメント

戦争に翻弄された子供たち。今回は敗戦国イタリアが舞台。貧しいながらも健気に生きようとしている仲良し少年二人が大人たちに翻弄されて苛酷な運命に巻き込まれるドラマの良作。

イタリア、ローマ

第2次大戦が終わり、アメリカ軍によって統治されていた頃。靴磨きとして健気に生きる兄貴分マッジ(フランコ・インテルレンギ)とフィリプッチ(リナルド・スモルドーニ)は、馬を買うことを夢見ていた。

頭金が溜まり馬主と交渉し仮契約を結ぶことが出来た。夢に一歩近付いたと喜ぶ二人。ただし、残金は膨大で靴磨きだけでは稼げない金額。そんな時、フィリプッチのヤクザの兄から女性占い師の家へ行って闇毛布を売ってきたら手数料として大金をやると言われる。悩みながらも、結局、頷くしかない。

そして毛布を隠し持って部屋を訪ね、何とか交渉成立した直後、刑事を名乗る三人が入って来て・・・

少年二人が辿る厳しい人生を描く佳作。

両親が戦争で死んでいる兄貴分の少年。弟分はあどけなさが残るが、妙に突っ張っている。しかもこちらは親兄弟が生きてはいるが敗戦後の混乱を生き抜くために裏稼業で喰っている家族。

主人公はこの少年二人。健気に馬を買ってビジネスに結び付けようと奔走して、何とか夢が叶ったかに見えた。しかし、ヤクザの兄に犯罪の片棒を担がされ、自分らの知らないところで共犯者として認知され、結果官憲に補導されてしまう。

要は、米軍の毛布闇商売は口実で、刑事に扮した兄たちがそこにある大金を略奪するのメインだったのだ。しかも兄や父親からは絶対に口を割るなと厳命され、真面目に順守したから二人揃って少年院送致となってしまう。

今度は貧しいながらも靴磨きとして生計を立てていた仲間たちとは全く違う少年犯罪者たちの中に放り込まれ精神が疲弊していく展開。しかも、看守の中には優しい人間も存在するが、少年院長が冷徹なタイプ。占い師窃盗事件を解明するべく二人を引き離して収監させ、あの手この手で口を割らせようとしていく。

いたいけな少年たちが戦争によって価値観が変わってしまった大人たちに翻弄され、純朴さが仇となり、疑心暗鬼になり性格も変貌し、顔つきも変わっていく展開には胸が締め付けられる。

「馬」を買うところから始まり、やがてその馬が、希望から絶望へと導いていくことになる暗澹たる人生。ネオ・リアリズモの巨匠ヴィットリア・デ・シーカらしい、敗戦後を力強く生きようとする人間たちのバイタリティが、別な方向へと開花していくさまは、同じく敗戦国であった日本人の胸に強烈に焼き付いた。

日本でも、主人公のような子供たちが多く輩出され社会問題となっていた。本作は素直で純朴ゆえから誤解が生じ、それがやがて事実誤認となり、悲劇性を加速させていく。

実際に戦争に参加しなくとも幼い子たちが、どれほど戦後にまで悪影響が及ぼされて行ったのか。そしてそういう少年たちを生みだすのは大人たちの身勝手な道理であると訴えかけてくる社会派骨太ドラマである。

余談雑談 2023年12月23日
クリスマスか。 この手のイベントは昔から苦手だし、自宅で鳥の丸焼きとクリスマス・ショートケーキなんぞが食べたいと思ったのは小学生ぐらいまで。それ以降は、せめて頑張ってみて「焼鳥」とか「イチゴ」だよなと言うのも、実は興味があるくせにと未練たら