やっぱりな。
三ヶ月先までの天気傾向が発表され、高温傾向だとか。そらみろ今年も猛暑決定じゃんかよ。TVでは、このところの寒さに対して、早く暖かくなると良いですね、春が待ち遠しい寒さと。個人的には相容れないタイプの方だな。きっと喉元過ぎれば不要不急の外出は控えろとか呼び掛けられるんだろうな。
その前にと、うずくのが旅心。真っ先に浮かぶのは沖縄だが、おやおや今年は高いぞ。インバウンドの関係だろうか。
じゃ他にはと思いネットをサーフィンして探すのではなく、かつて撮り溜めた旅番組からは、と思った。暫くぶりに飛ばし気味に再生すると、ああ、この店ねとか、いつの録画だっけとか思い出せなくて落ち込む。
恐らく録画したときに再放送だったりするとオリジナルは10年ぐらい前だなとか。昔の佇まいに憧れて、いつの日にかと思い録画した記憶がよみがえるが、代替わりしてないかやら、居抜きで今風にアレンジしてベラボーに値段だけ高くなっていたりしたら自分の不運さを呪うことになる。それに店自体が閉店していたらと考え、「何とかのくたびれもうけ」になるかもと引っ込み思案になる。
何せ地元の有名観光地では、嫌というほどイヤな移ろいばかりを見せつけられてきた。人の良い店主が素直に取材を受け、いきなり放送直後から行列店に変貌したり、地頭のない流行に飛びつく輩たちが次々押し寄せて、遂に店側が文句の持って行き場がなく閉店せざるを得ないことになった店も、それなりの数がある。
何度もそんな出来事に立ち会ってきた自分が得たことは、見知らぬ他人は信用に値せずである。取材許可店を探す下請けプロの人たちも大変だろうが、どこか居丈高な編集をしたりそれだけ見て、客の特権でもないが何も考えずに撮影などの迷惑行為をする。否や、価値観の違いというべきか。
でも、とある店は先代の後を受けた自分より年下の女将がワンオペで営業を継続しているが、受け継いだ時から有名店だったので、徐々に排除の方向に向かっているのが何とも痛快。
先立ては二人組の男が来店し、飲み物とそこの名物だけ一品を頼んだ。一人前でよろしいですかと尋くと、ハイと答え、すぐに自分らの会話に没頭し始めた。瞬時にどんな客か見抜いたのだろう。ちょっと『訳知りだぜ』てな格好をした方が、注文品を受け取ると取り皿を貰えますかと、一応丁寧な口調で言った。「スイマセン、ウチはこの程度の店なんで、特段取り皿は用意してないんですよ」。
好きだな、この返答。別な時は、若いカップルが初来店したら、混んできたら時間制になりますけど大丈夫ですかと発言して、成程この手のカップルには、こう声かけるのねと微笑んだ。でも、前の亭主だったら言わなかったろうな。当然、客は一応もう一杯づつ注文して店を辞した。
後を継いで、二度と来ない客かどうかを瞬時に判断できるようになったんだろうな。そういう店は足繁く通いたくなる。向こうもこちらの性分を知っているから。で、今年も猛暑らしいよと言ったら、嫌よねと一言。ここも価値観は一致しているのか。
でもな、少し離れた場所なので週に一回は行けないよな。暑くなりゃ、尚のこと。